フォーリンラブ1(CM) | Fragment

Fragment

ホミンを色んな仕事させながら恋愛させてます。
食べてるホミンちゃん書いてるのが趣味です。
未成年者のお客様の閲覧はご遠慮ください。

今日は館内整理日で休館。
けれど職員は出勤して内部の仕事をしている。
そんなわけで、閉まっている図書館でも中では色んなことが起きていたりする。

今日は午前中に消火訓練とAED使用の研修が入っている。
近くの消防署から消防士が派遣されてくる出前の研修の日だった。

『寒いのに、』
『まあまあ、』

同僚で親友のキュヒョンはそう言いながらニットの上着に首を埋めて、朝からブスくれていたっけ。
僕が言いたいことを代弁してくれたわけでもあるけれど。

この研修の進行と報告書などの事務的なことを館長から任されている。
消防車がやって来るそうだ。
やってくる予定の時間になると、僕は閉館しているために施錠している駐車場のチェーンを一時的に外しに行った。

外に出ると赤いあの車がちょうどやってきたところだった。

駆け寄ってチェーンを外すと、ゆっくりと赤い車体が入ってきた。
助手席から顔が覗く。
ファイヤーメンてカタカナが似合うような人だった。
うちのスタッフの奥様たちが喜ぶだろうなと確信した。

再びチェーンを閉めて消防車に向かい、挨拶をしにいく。
最初に目があったのは、助手席から顔を出してくれた人だった。


『今日はよろしくお願いいたします、』





わぁ、なんだこの人。
ドラマとかのファイヤーメンじゃないの。

『おはようございます、今日はお世話になります、よろしくお願いいたします。』

握手とかされているけど、するものなのかな。
変に緊張する。
ネームプレートに【チェ・シウォン】と書いてあった。

『ヒョン、』
握手した後に彼が運転席のほうを向いて声をかけた。
ドアが閉まる音がして、きちんと習慣付いているであろう駆け足で呼ばれた人がやってきた。

『はじめまして、チョン・ユンホです。今日はよろしくお願いいたします、』





この人も、手を差し出して握手を求めてきた。




やばい。

ダメだと思う。
これは、まずい。

やばいやばいやばい。

完全なる一目惚れだった。

ものすごく、好みだ。


『職員の、シム・チャンミンです。』

よろしくの声が口ごもってうまく言えなかった。
握手を返すと、もっと恥ずかしくなった。
ユノという人も、はにかむように笑ったから。

『おっ、ユノが照れてる!』




三人目も、なかなかのファイヤーメンだった。
ユノという人を先に見てしまったのがいけない。
この人の名前を覚えるのを忘れてしまった。

なんだかクラクラする。
さっさと館長のところに連れていこう。

ユノという人がどうやら今日の代表者らしい。
館長と引き合わせるときれいに腰を折って挨拶をしていた。
そしてスタッフの奥様たちが騒ぎ始める。
僕だって一緒になって騒ぎたい。
どの人が好みだとか、ぺちゃくちゃしたい。
一緒になってイケメンの品評会をしたい。

でも、表面的にはノーマルな男子で通してるから、我慢。
我慢だ、我慢、シム・チャンミン。


『キュヒョナ、外に出るからみんなを連れてきて、』





スタッフや他の職員を引率しようと思ってキュヒョンに話しかけると、まったく返事がないから振り向いてみた。

すると彼は一点を凝視して足を止めていた。

三人目の人と図書館の入り口や駐輪場を行ったきり来ている、シウォンという人を見ているらしかった。

知り合いだったのだろうか。

『キュヒョナ、』

肩を叩いて呼ぶとようやく正気に返ったらしかった。

『チャミナ、あの人、なに?』

何と言われても。

『消防の人だよ、ほら、国道沿いに消防署があるでしょ、』
『いや、そうじゃなくて、』

言いかけてまたシウォンという人に目を奪われたようだった。
もう、さっさと動いてくれないと僕だってあのリーダーっぽい人のことが追えないじゃないか。

『まじ、イケメン。』

うわぁ、ここにも、出会い感じた人が居た。



とりあえず突っ立ったままの親友の大きめのお尻を叩いて動かした。
僕は先に消火訓練をするために使う駐輪場へ向かった。

三人目の人と、リーダーが消火器を用意しているところだった。

『ああ、すみません、なにか濡れてもいい的みたいなものってありますか、』

『マト?』

辺りを見回しても特になにもない。

『あれは、お借りできます?』

そう言って、リーダーのユノという人は僕の隣に立ち、肩と肩が触れる距離に寄ってきた。
近い。
この人、近い。
ものすごく、おいしい。

そしてそのおいしい人が指したのは、キャスター付きの休館日とブックポストの案内の看板だった。
雨の日でも外に出ているものだから濡れてもかまわない。

『あ、はい、大丈夫だと思います、』

キャスターをガラガラと音を立てて移動させる。
消火器が四本用意された。

『消火剤は今回は使用しません。この中身は水なんです。』

ああ、なるほど。

『三人で一組ずつ訓練します。』

説明してくれる間も、肩はくっついていた。

そんなふうに説明を貰っているうちにキュヒョンが職員やスタッフを連れ出してきた。

そして今日の研修である緊急時対策の訓練が始まった。
改めて三人が並ぶと圧巻だった。

『火事です!』

実演は三人目の人がしてくれた。
ネームプレートにはイ・ドンヘと書いてある。
リーダーは真剣だけど、柔らかい空気を崩さずに立っていた。
こちらに対しての作った笑顔を出している。
でも営業、とかっていうでもなく、こういう出前研修のための顔なんだろうなと。

まあ、それでも、それだけでも、本当に絵になる。

『そう、はい、抜いて、向けて、握って、』

三人目の人がうちのスタッフに付き添うように指導し、濃いハンサムとリーダーが声を出して指示をしたりなんかする。

『皆さん炎のてっぺんに向けがちですけど、肝心なのはこの元のところで』

報告書の研修内容もまとめなくてはいけないから、彼らの言うことも要点を押さえておかなくては。
殴り書きでメモをしているのでけっこう忙しい。

キュヒョンは自ら濃いハンサムに一番近い消火器に立ち、スタッフの奥様たちと大袈裟な火事の芝居をして楽しんでいる。

腰に手を添えられたりして。

ずるい。

『火の元に向けたまま、少しずつ距離を縮めて、そう、』
『うはは、』

訓練だぞ、笑うな。
キュヒョンのヤロウ、楽しんでるな。
まったく。

『シムさん、』
『はいぃっ』

かくいう僕だって、語尾にきっとハートのマークがついていた。
リーダーに呼ばれたのだから。

『はい、』
そう言って、笑顔で僕に消火器を持つように促す。
自分がするのをすっかり忘れていた。

残ったスタッフと共に火事のお芝居から始まる。

『火事だ、ウニョギー!』
『ウニョギは留守番でいません、はいはい、早く消火器を探して』

三人目と濃い人のコントが繰り広げられたり。

『黒い炎になったら、逃げてくださいね、消そうとしないで、逃げて。』

奥様方が揃って返事をする。
こういう時ばかり統率性を見せる。
僕だって、はーいって、きゃぴきゃぴしながら訓練したい。

『あ、中の水、まだ残ってますね、使いきっちゃいますか。』

訓練用の消火器だから中はただの水。
空っぽにして帰りたいらしく、最後はイケメンのリーダーもちょっと楽しそうに一緒にしてくれた。
『あ、競争ね、』
なんていいながら。
笑うととても可愛いイケメンだった。

そして何を競争してたかもわからないけど、僕の消火器が先に終わってしまって、リーダーが勝ったと喜んでいた。

『早く終わった方が勝ちなんじゃないんですか?』

反論したら、みんなに笑われた。
濃いハンサムと三人目の人にも。





『シムさん可愛いっすね、』






もう、ダメ。

完全に落ちた。

可愛いのはあんたのほうだ。



『あ、ユノがまた照れてるっ』




やめてください、期待しちゃう。

『やめろよ、照れてねぇよ、楽しいだけ、』

訓練する側が楽しいとか、言っちゃダメだとも思うけど。
訓練だから、楽しんで覚えても、いい?

ダメ?

『皆さん熱心にやってくれてるから、嬉しいだけ、』

もっともらしいこと言って、また笑ってくれる。


消防の人とか、救急の人が、こんなに可愛い人だなんて考えたことも見たこともない。




困ったな、まさかの、まさかの、一目惚れ。















づく(笑)
バレンタイン&真ん中バースデイとかにして短いお話をあげてみます(笑)
図書館VS消防署でした(*´-`)
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