母が特養にロングショートでお世話になった頃、
腰椎骨折をしていたため、
固い頑丈なコルセットをはめていました。
これと同等のタイプです。
<画像はお借りしました>
特養に入る前に入院していた病院では
本当に良くして頂き、
外科部長のご配慮で、
介護の大変な私の事情も考慮し、
最長2か月、面倒をみてくださいました。
病院では、
自由に歩行が出来ない患者さんが
ほとんどでした。
そのため看護師さんとは別に介護士さんがいて、オムツ交換を頻繁に巡回したり、
1日に4~5回、
お茶をつぎにきてくれていました。
患者は各自のカップを持っていて、
そこに数時間前に入れたお茶が残っていても、
それを捨てて綺麗に洗いなおしてから、
お茶を注いでくれるという、
衛生面でしっかり管理されている状態でした。
恐らくここまで完璧な病院は、
全国探してもなかなか無いだろうと思います。
そんな細やかな配慮のある病院でした。
また病院内のお茶も、
ユニマットの自動給湯器があって、
飲みたい方は給湯器のラウンジに行けば、
自由に飲めました。
緑茶・ほうじ茶が選べ、
熱いお茶・冷たいお茶、ともに選べます。
その都度、新しいお茶っぱが出て注がれるため、
お金払ってでも飲みたいくらい、
本当に美味しいお茶でした。
その後、母は病院と同じ敷地内の
この特養にロングショートで
移れたわけですが、
分厚いコルセットをしているゆえに
それが邪魔になって、
母は足元がよく見えず、
自由に歩行できる状態とはいえず、
介護士の手引き歩行にて館内を移動している状態でした。
この特養ですが、
元気な方は自力でダイニングに来て
テーブルの椅子に腰かけ、
おしゃべりができます。
飲み物は給仕の方に言えば出してくれますが、
気軽に「お水ちょうだい!」
「お茶いれてちょうだい!」と言えてた方は
私の記憶の中では
数名しかいなかったように思います。
皆、どこかで遠慮しているのが
手に判るような状態で、
その気持ちが痛いほどわかる自分は
見ていて辛いとさえ思う時もありました。
ショートで利用していた方は、
直系の家族がいない方もいて、
行き場のない毎日の中から
たまに宿泊させてもらうこの施設で
『介護士から嫌われまい!』と
必死に気を遣っている姿を目にしていました。
それより以前に、
このダイニングのフロアでは
介護士の姿がいない時間帯が多かった。
そんな時、お水を飲みたい方が、
どこにコップがしまわれていて、
どこに白湯があるのかわからないから
介護士が戻るまで待っているという事があり、
面会に何度も訪れている自分は
「お水ですか、もってきますよ。
私、つぎますね。
それと、コップはここにしまわれていて、
麦茶でしたら、
このやかんの中で冷やしているので
いつでも好きに飲まれたらいいですよ。」
とお教えした事もありました。
その方は
「そんなところにあったの?
知らなかったわ。3年も通ってたのに。」と。
そう、ここの介護士たちは説明しないのです。
いちいち関わらないですむように。。。
話しかけられて話に付き合わされない様に、
極力、利用者との接触をさけて、
朝・昼・晩の食前準備に没頭している人ばかり。
ちなみにお茶も、
病院のユニマットなどはなく、
介護士が紙パックで作る安い麦茶で、
まだ水のほうがマシと思う位に
まずい麦茶でした。
これをわかした熱湯の中に
パックで入れて、そのまま冷まして
完全にさめたあと、容器に移して
冷蔵庫に入れているのです。
ついでに言えば、
夜間に面会に行った際、
やかんの麦茶はみんな処分されていました。
夜中に飲みたいなとダイニングに出てきた方が
飲めるお茶はありませんでした。
母も
「お茶が飲みたい時があるけれど、
ダイニングに行けば、砂糖とミルク入りの
コーヒーしか出してくれなくて。
だからお茶が飲みたいわねぇ。」
と言っていました。
そんなわけで、
面会に行った際、ファミリーマートで
『おーいお茶』のあったかいボトルを買って、
母に飲ませ、
残りは部屋において帰ったのです。
次に面会に行ったのは、
その2日後でした。
部屋に入ると、一昨日おいておいた
お~いお茶のボトルが、
部屋の中にそのままあるではありませんか。
このユニットは、清掃の人(介護士でもある)が、
毎日1回、トイレのおむつ箱の他、
その他のゴミを回収しにきます。
朝、ペットボトルが洗面のところに置いてても
ゴミと思わないのでしょうか?
あなたが介護士として、部屋に入る。
そこに、こんな飲みかけのペットボトルがある。
この利用者は認知症で歩行がまだ不十分。
自分で館内の買い物に行けるわけではない。
しかもロングショートで、
何ヶ月もそこで暮らしている訳だから、
もう十分、どんな利用者かは
覚えられるでしょう?
普通は認知症患者であれば、
「これ、いつのですか?」と聞かないだろうか?
あるいは、「これはまだ飲みますか?」
「捨てときましょうか?」と聞かないだろうか。
特に朝一番の洗面に入った介護士なら、
それは前日より前に買った飲み物に違いないと思いませんか?
お世話になった病院では、
そこで勤めていた介護士さん達は、
入院患者のカップを、
日に何度も洗浄し、ついでくれていた。
その方なら、恐らく放置する事はないと思う。
食中毒を防止する意味でも。
同じ介護士さんでも、こんなに違うのか。
ゴミだって回収しなければならないはず。
恐る恐る母に「これ飲んだ?」と聞くと、
母は
「飲まないわ。怖いもの。
もう何日も経ってるし、
危ないと思って口つけてない。」
というのを聞いて安心しました。
季節は暖かくなってきて、
かつ、まだ部屋には暖房もついている。
お水だってお茶だって何日も放置してれば
怖いですから。
危険だと察して口を着けなかった事は
ほんとによかったと安心しつつ。
「ここの人達は、
こういうのを放置してるんだね。
気を付けてね。
ここはこういうのを
チェックしてくれる人いないみたいだから。
お茶はその日に飲まなかったものは、
絶対次の日に飲まないでね。」と念押しすると、
「わかってる!大丈夫よ!」と。
本当なら、母が自分で捨ててゴミ箱へ入れてね・・・というところですが、
そこが認知症。出来ないのです。
けれども、これは飲んだら危険という事だけは
しっかり機能していて良かった。
その後、ペットボトルのお茶を
洗面に流してからゴミ箱に入れ、
その日は帰宅しました。
そして、ペットボトルのお茶を母に渡して
帰る事は、もう怖くて出来ないなと思いました。
その後、担当者会議が
施設の会議室を借りて行われました。
※担当者会議というのは、ケアマネを筆頭に
利用者を担当する全関係者が集まって、
今後のケアプランを作成するというものです。
介護保険を使うにあたって、
1年に一度はこれを行う必要があります。
ケアマネ、施設の生活相談員、私、
レンタル会社担当者の4名が集合し、
話し合いが行われ、プランの見直しや要望など
お伝えできる機会がきました。
そこで、私はひとつの要望を伝えました。
母はお茶が好きな事。
まだ充分に歩きづらい事も含め、
出来れば1日に午前と午後だけの
2度でいいので、
何度か、母のプラカップにお茶を入れて、
部屋いる母に運んで頂けないかと。
分厚いコルセットをつけている状態でもありますしと。
施設には下半身完全マヒした
ロングショートの方もいるわけで、
その方はリビングまでいく車椅子にさえ
自力で乗れないわけです。
そんな方にとっては、
部屋で喉が渇いたなと思う時、
夜中に水が飲みたいなと思う時、
わざわざナースコールを押して、
水をもってきてくれ、お茶をもってきくれと
お願い出来ると思います?
しかもこの施設は利用者に滅多に
話しかけない人達ばかりの施設。
そんな人達に嫌われないために、
一生懸命笑顔を作って、
何度も何度もお礼を伝えて
お世話していただく身。
みな、小さくなって
過ごしている方が多いのです。
そんな事から、
高齢者で歩行が困難な利用者に
水分のための飲料を
部屋に用意してもらう事は、
過大な要求ではないと思いましたし、
例えば母がそういう該当者ではないのであれば、
その場で、出来かねますと
伝えてもらえばよいと思いました。
結果は、
「そのようにプランに入れさせて頂きます。」
とのご快諾を頂き、
これで高脂血症の母も、
甘ったるいネスカフェコーヒーを
毎日4杯も5杯も飲まされずにすむ!
と思ったのでした。
ところが。。。
長くなるので、次の記事で書かせて頂きます。
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今日も長い記事をお読み頂きまして、
ありがとうございました。
寒くなってきました。
コロナも蔓延しています。
私も先々週、罹患してしまいました。
どうぞ、充分予防の対策をなさってくださいませ。