ウラディーミル&ヴォフカ・アシュケナージ ピアノデュオ | あなたに,も一度恋をする

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行ってきました。アシュケナージ親子のピアノデュオに。
私にとってアシュケナージは、20代から憧れ続けた人です。
今回はソロではなく、息子のヴォフカ・アシュケナージとのピアノ・デュオだったので乗り気ではなかったのです。
おまけに、私、コンサートを一人で行くのが、過度のストレスになる体質で・・・。
まさか高額のこのコンサートに、親友クロちゃんも誘えず、夫婦二人分のお金を出すのは忍びなく・・・。
 
でも、夫のダァーちゃんが、
「お前、(交響曲を)聴きながら、涙ボロボロ流すくらいやねんから、行きたいと思った人のコンサートは行ったほうがいい。
もう、(アシュケが)大坂には来ないとしたら、二度と聴くことは出来ないぞ。
1万円(A席)でも、8000円(B席)でも、行ってこい!」と、珍しく勧めるので、思い切って予約しておいたのです。
考えれば、アシュケナージがソロでコンサートをすることは、もうありえなく、
この機会を逃したら、もう二度とアシュケナージの演奏を生でなんて聴くことはないと思い、行ってきました。
 
演奏時間は休憩を含み、1時間40分くらいだったでしょうか・・・。
2台のピアノで奏でられた作品は
 
1部---
●プーランクの 《2台のためのソナタ》 Ⅰ~Ⅳ楽章
●スクリャービンの 《2台のためのピアノの幻想曲 イ短調》
●ボロディン 《だったん人の踊り 歌劇イーゴリ公より》 ヴォフカ・アシュケナージ編曲
2部---
●ラヴェル 《マ・メール・ロワ》 Ⅰ~Ⅴ
●ドビュッシー 《リンダラハ》
●ラヴェル 《ラ・ヴァルス》
 
私は先週とほとんど同じ席で観てたのですが、
先週の演奏者とは、まるでちがってました。 演奏の質は比較になりませんでした。
もう全てが・・
(期待して先週行ったゲルバーさんでしたが、4つのソナタで40箇所以上の弾き間違いがあり、
ペダルは最大級に踏みしめられて、おまけにテンポ・ルバート気味で、とても落胆したのです。)
 
2台のためのピアノ作品の生演奏は最高の質で、その理由として、親子の絶妙は呼吸があると思いますが、
それよりも、お二人は、すでにこの演奏会前に、演目ほとんど全てをCDに録音されて販売されているのです。
そのため、もう完璧な仕上がりになっている十分な経緯があるからだと思います。
 
ホールバックの観客席から見下ろす形の席で、そこからウラディーミルの指までしっかり見えました。
憧れ続けたその音は、批評家の言葉どおり、まさに「情緒の美音」でした。
我が家にあるアシュケナージのCDの演奏はどれも素敵です。
でも、どこかで
『これはスタジオで録音してるから、生の演奏はこれほど綺麗ではないだろうな。そんなものよね。』
とどこかで思っていましたが、大きな誤解でした。
ペダルは必要分だけの最小で、時折、アシュケ独自のためいきのような絶妙な呼吸を感じさせる部分があり、
またフォルテもピアノも、ピアノッシモの、どの音も、全てが美しかったのです。
(息子さんのヴォフカさんの音ももちろん良かったですが、ウラディーミルの音とは違う。
憧れ続けたその音は、宝石のように美しかった・・・。超一流とはこういう音なのだと教えてもらった時間でした。)
 
息子さんを世界に紹介するために、デュオ演奏に参加されたアシュケのコンサート活動。
その機会にありつけて、よかったです。
演奏後の退出の時に、コミカルな動作で笑いを取っておられたアシュケ。
上から見下ろすアシュケの楽譜のなかで、ラヴェルの 《マ・メール・ロワ》の楽譜だけは、色褪せた楽譜で
破れがみられるほど、使いこまれた楽譜でした。
若い頃に弾かれた時のものを、きっと今まで買い換えることなく、使い続けられているのだと思いました。
楽譜を大事に大事に扱っていらっしゃることが伝わってくるようでした。
こうして1時間40分の時間は、雲の上にいるように至福の時間でした。
今日の演奏会、ほんとに行ってよかった。
 
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