グレン・グールド A LIFE IN PICTURES | あなたに,も一度恋をする

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昨日、図書館に行って借りてきた。
借りてきたのは、グレン・グールドの写真集「ア・ライフ・イン・ピクチャーズ」(ソニー・マガジンズ出版)

バッハファンなら十中八九は知っているピアニスト、グレン・グールド
この写真集には、幼い頃に家族の愛を一身に受けたグールドの姿や、
バーンスタインとのオケ競演でのショットや、
ダンサーとはしゃぐ無邪気なグールドの姿なども収められている。


また、写真だけでなく、グールドと親交のあった音楽家の言葉や、
グールド自身の言葉が紹介されている。
そのなかで、私が特に興味を覚えたのは、グールドがA.ルービンシュタインとの会話での逸話だ。

ルービンシュタインが
「観衆が会場に到着して、演奏会が始まるとき、男も女もそれまでは、てんでの考えごとをしている。
そんなみんなの雑念が、自分のの音に全員が一斉に耳を傾けている。
そうしう聴衆が発する特別な雰囲気を、君は一度も感じたことがないのかね。
人々の魂をつかんだと思ったことは?」と聴くと、グールドは

「彼らの魂なんて欲しくなかった。
言葉にすると愚かに聴こえるかもしれないけど、もちろん影響は与えたいと思いましたよ。
なんらかの方法で、人々の生き方を方向づけるような、昔風の言い方をするのなら、
『役に立つ』といったことでしょうか。でも力をふるうようなことはしたくなかったし、
聴衆の存在に刺激を受けたいということもなかった。
実際のところ、聴衆がいるとかえって上手く弾けなかったんです。」と答えたらしい。

それに対し、ルービンシュタインは
「なるほど、私たちは正反対だね。まったく正反対だ!」と言ったらしい。


演奏会という形式から、やがてレコーディングに光をみて、大衆の前から姿を消したグールド。
完全なオリジナリティ溢れる演奏は、バッハに限らず、モーツアルトのピアノソナタの録音からも明らかだ。
友人の娘が中学のときに受けたコンクールを観に行った私は、
課題曲であるバッハのシンフォニアを弾く出演者の5人中、少なくとも2人は、
ほぼ、グールドの演奏の模倣だった。
演奏解釈の難しいバッハのインベンションやシンフォニアを、グールド独自の演奏解釈は際立ってる。


熱い日でも、コートとマフラーを必ずしていたグールド。
薬やビタミン剤をブリーフケース一杯につめて持ち歩いていたグールド。
映画『グレン・グールドをめぐる32章』に描かれることのなかった茶目っ気とユーモアに満ちたグールド。
天才にみられがちと言われるアスベルガー症候群の症状を呈していたとも言われるグールド。

そんなグールドを映し出した写真集に掲載された多くの言葉を少しだけ紹介します。


「グールドは数多くの才能に恵まれていたが、長生きの才能はなかった。だが、…彼ならではの深遠なやり方で時間を超越した。その証拠に、グールドはその後もずっと重要な -いや、不可欠な -音楽的存在であり続けており、ある意味では彼が生きていたとき以上に、私達の経験の中核を占めている。」
                                             ティム・ペイジ



「グレン・グールドは、きわめて優れた人物であり、
気さくで思いやりにあふれている。
風変わりでも、利己的でもない。
自分が望む生き方をはっきりとつかみ、
それを寸分の違いもなく実践している人間なのだ。」                    ジェフリー・ペイザント


「グレンの才能はひとつにおさまらなかった、
彼は研究し、思索した。音楽学への造詣も深く、演奏会のステージで演奏するとき、
他のどんなピアニストよりも、自分が弾いている作品をよく理解していた。」
                                            ロバート・シルヴァーマン


「(グレンは)自我と音楽の内面性との融合」                       ジェフリー・ペイザント



「私は彼の演奏を尊敬し、その知的なアプローチに敬服していた。
彼は何を演奏するにしても全身全霊を傾け、総譜に書かれた真実を
いつも新しい角度からとらえ、そこに新しい可能性を探っていた。」
                                             レナード・バーンスタイン


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「セバスチャン・バッハの音楽が偉大なのは…
芸術につきまとうあらゆる教条的なもの…
美意識にありがちな軽薄で退廃的な先入観を超越していることだ。
それは時代に従属しないことで、時代を豊かにできる人間の姿を示している…
時代に合わせることを迫られても、それは縛られることなく、
独自のやり方で時を組み立てることは可能なのだと教えてくれる。」             グレン・グールド


「最近はあまり教会に行かない……
でも、地上ではもたらされない平和とかいう聖句を思い出しては、
心の安らぎを覚えている。                                グレン・グールド


「ほかの人間と1時間いると、それをX倍した時間だけひとりになる必要がある……
孤独は人間の幸福に欠かせない要素だ。」                         グレン・グールド




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