ちい、沖縄の海へ | あなたに,も一度恋をする

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1週間前、夢をみた。
その夢は、私の高校時代の仲良し6人組で沖縄に旅行に行くという夢。
船に乗ってついた沖縄は、青い空と海.
なんともいえない美しいブルーの世界。
到着したのは船着場。
船を友人達で降りて、そこにちいがいたのに気づいた。


「ちい、ここにいたの?!」
私はそう言ってちいに近寄ると、ちい子は嬉しそうな顔をした。
そして、もうすぐ到着する新しい船に向かって、また歩いていった。
ここにやってくるお客の送迎をしてるんだと気づいた。
海の上に作られた幅30センチくらいのコンクリートの橋。
そこを歩いて船から降りてくる客を出迎えていた。
それを見ながら、とても幸せな気分になった。
『知らない間に沖縄に来ていたなんて・・・。はは。』
そう言って私は夢のなかで微笑んだ。

まぶしいくらいの鮮やかなブルーに光がキラキラさしていて、
そうして、ちいの他にも柴犬が一匹、雑種犬が一匹いた。
ちいを含めた3匹の犬達は評判なのか、雑誌の記者たちがカメラをかかえてシャッターを切ってた。
なんともいえない愛くるしい犬達。
何より、ちい子が楽しそうに船のお客を出迎えていることが嬉しかった。
仕事をしてる、いっちょまえのちい子。
こんなに生き生きしてるあの子を見て、嬉しかった。
後から見るあの子の後姿は、いつものように耳をピンとたてていて、
それがまた可愛かった。


夢から醒めた後、しばらく夢の余韻にひたった。
涙がまたにじんできたけど、
骨をまいてから、ちいは海を渡って、今、美しい沖縄にいるのだと思った。
空想の世界でも、そう思うと、幸せな気分になれた。

翌朝、母にこの夢を告げた。。
「ねぇ、お母さん、いつのまにか、あの子、海を渡ってたんだね。
でね、今話しながら気づいたよ。
目が見えなかったのに、今あの子、目が見えてるんだね。
テクテク歩いてたもの。
歩けなかった足は、また元気に歩けるようになったんだね。」

母が「そうだね。」と返した。


この夢をみた数日後、母をあの子の骨を撒いた公園の丘に連れて行った。
1ヶ月前には、まだ一面芝生だった丘が、見事なまでに白爪草一面に咲き乱れてた。
夢を見ているようだった。
この公園のこの場所はこの季節になるとこんな風に咲き乱れててただろうか・・。
ドラマに使われそうなほど、一面の白爪草。

ちいの骨を撒いたのは、植樹された木の根っ子。
その木を見て、母がで、「しだれ桜だね。」と言った。
「人間が亡くなったって、こんな桜の木の下に埋めてなんかもらえないよ。
ちいちゃん、幸せだね。」そう言って母は笑った。

夢は、時に人を癒してくれる。
そう思えた、ひとときの夢だった。