クリント・イーストウッドと「黒」 | あなたに,も一度恋をする

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昨日、仕事から帰ってくると、ダァーが行った。
「いい番組やってたぞ!観るかぁ~?」
録画されていた番組はNHKのBS。
クリント・イースドウッドのインタビュー番組。

イーストウッドは「ダーティ・ハリー」の映画を観てから好きな俳優だったけど
最近は監督として、幾つかの作品を制作して、つい先日も彼の作品「チェンジリング」をみたばかり。
彼の作品のなかでも最も好き作品が「ミリオンダラーベイビー」で
ストーリーを何もしらずに借りてきたDVDで、何度も泣いた。

この作品は、当初配給会社に
「女性ボクサーの物語なんて売れない。」とまったく相手にされなかったらしい。
けれどイーストウッドは、
「これは単にボクサーの映画ではなく、
父のいない女性ボクサーと、娘にいない老年のトレーナーとの親子の絆の物語だ。」と説明して
ようやく配給が決まったらしい。

この番組で、イーストウッドが映画のなかでこだわったのが色彩。
彼は黒という色が最も好きな色らしい。
彼は撮影スタッフに、「黒をもっと黒くできないか?」と要望したとのことだった。
イーストウッドのこだわりは「黒」であって、
背景の暗さを思い切りの黒でぬりつぶし、それによって、出演者の表情を際立たせているという。
いくつかのシーンが映し出され、
『そういえば、そうだった。そう、黒がきわだってたな。』と思った。
主人公のバックは真っ黒。黒が思い切り黒い。

この映画のストーリーは重いけれど、
何度も流れる、イーストウッド作曲の飾り気のない、あのピアノメロディーが何とも言えなかった。
ある批評家が
「彼は、映画監督が陥りやすい“売れる映画づくり”に流されない、数少ない監督だ。」と言った。
イーストウッドはこのインタビューの最後に言った。

「映画は出来てしまえば、作品として一人立ちしていく。
売れるか、売れないかはわからない。売れる作品だと思ってない。それほどの自惚れはない。
作品が失敗に終われば、またやり直して、新しい作品を作っていくだけのことさ。
自分が、その時に作りたいと思う作品を作るだけのことさ。」

彼は監督として活動し、あるときから、
人間と人間に焦点を当てた作品づくりに方向転換したとのことだった。
その第一作が『許されざる者』で、多くの人の心をつかみ、
第65回アカデミー賞監督賞、作品賞を受賞。
第50回ゴールデン・グローブ賞監督賞も受賞した。

イーストウッドは俳優業のときから映画制作を目指し、
立ち上げた映画制作会社の名前が「いばらの道」(日本語訳)。
すごい覚悟で監督業をめざしていたのが、そのネーミングから感じた。
いい番組だった。