真夜中の二人乗り | あなたに,も一度恋をする

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今朝方、夢をみた。
夢のなかは、また夜。
どこかの知らない街を、ダァーがこぐ自転車の後ろに乗ってる。
どうしてこんなところにいるのかわからないけれど、とにかく二人は道に迷ってる。

外は夜中。真っ暗だ。
真っ暗で人影もない。不気味といえば不気味だ。
何より知らない土地。
はやく抜け出なくては・・・。

夢のなかは夜中なのに、鮮明に見える風景。その風景はグレーだ。
自転車に乗りながら、次々と風景が変わってく。
右にカープ、左にカーブ。ときどき立ち止まっては、また走る。
あるところで踏み切りがあった。
それを超えて右に曲がると、左手には古ぼけた公団住宅のような建物があって
私はどこかで見たような気がするとダァーに言った。

「ココ、さっき走ったなぁ。」

「うん。そんな気がするけど、そうでもないような気がする。」

「どうもオレ、同じところをぐるぐる回ってるような気がするよ。」

「え?ほんと?ほしたら、私ら、完全に迷ってしまったことになるよ。」

周囲はほとんど明かりらしきものもなく、人影がまったくない。
不気味な見知らぬ土地。
それでも、なぜかダァーと二人だからか、怖くない。

「あのさ、じゃ、アタシよく見てみるよ。
立ってながめたら、走ってるとこ、よくわかるかも。」

そう言って、私は自転車の荷台に足をつけて立って、
前をこぐダァーの背中におんぶのようにもたれながら、前を見た。
昔、こうしておじいちゃんの背中におぶさって甘えたことを思い出したりした。
今こうしてダァーの広い背中にもたれていることが嬉しい。
ダァーは、二人乗りひてもたれてる私の重みなんかもヘッチャラで、
楽々と自転車をこいでる。

「あ。そだ。こっちだよ。こっち。ココ曲がってみようよ。」

「こっちだな。よっし。」


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そこで目覚まし時計の音が鳴り、夢が醒めた。
けたたましい音。


布団から出て、急いで仕事へ向かう身支度をしながら、
隣の部屋から起きてきたダァーに言った。

「あのな、さっき夢見ててん。どんな夢かっていうとな・・・(云々)。」

「ほぉ~。それは何を意味してるんだ?」

「あのなぁ~、多分なぁ~、二人で歩む人生みたいなもんちゃうかな。」

「人生?」

「うん。なんかそんな風に思ったわ。」
外は真っ暗やろ?アタシはいっつもそんな夢ばっかやねんけどな、
でも怖くなかってんで。ダァーちゃんと一緒やったから。
夜真っ暗っていうのはな、お先真っ暗な不安な社会を表してるんやで。きっと。
それをな、迷いながら、二人で歩んでんねん。
どっか目指して。そういう事やと思うわ。」

「ほぉ~~。そうかぁ~。」とダァーは笑う。

「おぉ!ぐずろく!もう家出る時間ちがうのか?」

「うん。ほなら、行ってくるわなぁ~。」


夢は人生の1/3を占める睡眠におきる出来事。
寝つきの悪い私はいつも夢を見る。
今度こそ、太陽の陽がさす明るい場所で過ごす夢をみたいな。