情報戦を意識した対応を取るべきだ! | 岐路に立つ日本を考える

岐路に立つ日本を考える

 私は日本を世界に誇ることのできる素晴らしい国だと思っていますが、残念ながらこの思いはまだ多くの国民の共通の考えとはなっていないようです。
 日本の抱えている問題について自分なりの見解を表明しながら、この思いを広げていきたいと思っています。


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 中国が申請した「南京事件」に関する資料がユネスコ世界記憶遺産に登録されました。これに対して自民党はユネスコへの分担金・拠出金の停止等といった処置を政府に求める決議を採択し、政府もそうした処置を検討対象にするとの姿勢を示しています。

 これに対しては早速中国共産党から「ユネスコを公然と脅迫する言論には驚かされた。全く受け入れられない」との反発があり、日本政府や中国共産党の反応を世界中のマスコミが報道しました。その中には、「南京大虐殺」を真実だということを前提とした上で、日本が分担金の停止をちらつかせてユネスコを脅しているというニュアンスのものも少なくありません。例えばイギリスの有力紙ガーディアンはJapan threatens to halt Unesco funding over Nanjing massacre listing(南京大虐殺に関する資料の採用に対し、日本はユネスコ分担金を停止すると脅迫)との見出しの記事を掲載しています。

 これらの非難をどう考えるべきでしょうか。こういうことを政治利用しようとする中国のやり方には不愉快な気持ちを抱きつつも、自分の意見が通らないからといって分担金 ・拠出金の削減を主張することには賛成しかねるという考えの方も国民の中にはかなり多くいると考えます。そして、こうした人たちの理解を得られるようにしなければ、分担金・拠出金の削減 ・停止という話は持ち出すべきではなかったのではないかとの立場です。

 今回の件に限らないですが、日本の議論は結論に飛びすぎるところがあります。マスコミが結論しか報道しないというところも問題ではありますが、そうしたマスコミの特性を念頭に置いた効果的な宣伝を戦略的に考えていない政治家の側にも、一定の問題を見ることもできると、私は考えます。

 「ユネスコのアジア太平洋地域世界記憶遺産委員会は構成する11名のメンバーのうち中国人4人、韓国人1人であるのに対して、日本人は1人もいない。そもそも人選が公正・中立とは言えないのではないか」とか「資料が真正ではない可能性が極めて高いと言わざるをえない。仮に真正なものでなかったとした場合、ユネスコはどう責任を取るのか。」といった批判を、日本国内だけでなく、世界中のマスコミに向かって繰り返し主張することを、今なおなぜ怠っているのでしょうか。ユネスコの怪しさが明確に伝わる情報が浸透するかどうかが、日本政府の主張に耳を傾けてもらうのに最も大切なポイントになるという点が全く意識されていません。日本文化の観点では無粋かもしれませんが、この事実が広がるかどうかで、世界のこの事件に対する目は大きく変わることになるのに、この点に関する発言が残念ながら一切聞こえてきません。

 そしてこうした情報に加えて「ユネスコは当事国である日本の見解を求めることをしないばかりか、日本から意見や資料を提出したいとの要請すら拒絶してきた。」とか「そもそも登録しようとしている資料自体の真贋を確かめたいので見せてもらいたいとの日本政府の事前要請すら、ユネスコは拒絶した。」といった批判も、その情報が浸透するまで、繰り返し波状攻撃で展開すべきです。問題はユネスコに求められる中立性以上に資料自体がでっち上げかどうかなのであって、その点を曖昧にする攻め方を行っているのが残念です。

 こうした事実関係について、政府として、あるいは文部科学省として、きちんとまとめた文書を作成して、世界中のマスコミに公表すべきでしょう。日本政府が何を問題としているのかを明確に示し、いかにユネスコがいびつな組織になっているかが伝わるようにすべきです。産経新聞や読売新聞はおそらく全文掲載してくれるでしょう。ユネスコへの分担金・拠出金の削減 ・停止、あるいはユネスコからの脱退の話を持ち出すのはそれからすべきことだったのではないかと、私は思いました。

 今さら言っても遅いかもしれませんが、今からでも宣伝戦には参入できます。情報戦を仕掛けられているという認識を、未だに役人が持ちきれていないのも問題だと思います。情報戦をどう戦うかという見地から、広報宣伝体制を抜本的に改変していくことを政府に求めたいところです。

 南京事件の真相については、米国内で検証委員会を作ってみるという提案をアメリカ側にしてみるのも考えてみてはどうでしょうか。アメリカが乗るかどうかはわかりませんが、ユネスコに同様の不信感を持っているアメリカが乗ってくる可能性はないとは言えないでしょう。その結果として、例えば南京大虐殺記念館にある写真の中に一枚も本物がないことをアメリカが公表することになったとしたら、世界に与えるインパクトは絶大でしょう。

 中国政府や韓国政府に負けないだけの、あらゆるチャンネルを通じたしつこい戦略的な宣伝戦を日本がどう構築するかが今後の鍵になると、私は思っています。


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