北朝鮮は本当にサイバー攻撃をしたのか?いずれにせよ体制崩壊に備えよう! | 岐路に立つ日本を考える

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 私は日本を世界に誇ることのできる素晴らしい国だと思っていますが、残念ながらこの思いはまだ多くの国民の共通の考えとはなっていないようです。
 日本の抱えている問題について自分なりの見解を表明しながら、この思いを広げていきたいと思っています。


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 ソニーピクチャーズエンターテイメントに対するサイバー攻撃が北朝鮮による犯行だとオバマ大統領から名指しされていますが、これは本当なのでしょうか。この判断に対する疑問は実はいたるところから出ています。

 読売オンラインにも、「北朝鮮犯行説は疑問:ソニーピクチャーズ攻撃」との記事が出ていました。
読売オンラインの記事

 この記事はセキュリティー専門家である「NTTコムセキュリティ」の北河拓士氏へのインタビューをまとめたものです。この記事の中で北河氏は次のように言っています。

 今回の犯行グループは「GOP」と名乗っている。GOPは当初は映画のことについて一切要求せず、ソニー・ピクチャーズに対して不当なリストラへの抗議、金銭的要求などを行った。映画のことを言い始めたのは12月8日であり、「ザ・インタビュー」の公開中止を要求したのは12月16日。当初のサイバー攻撃から20日もたっており、「ザ・インタビュー」が最初の目的だったとは考えにくい。北朝鮮が関与しているのであれば、最初から「ザ・インタビュー」の公開中止を要求しているはずだ。(筆者注釈:GOPとは Guardian of Peace の省略形。ちなみに米共和党の愛称もGOPであるのを狙ったようにも感じます。)

 GOPは100TB(テラバイト)のデータを持っているとアナウンスしており、実際に映画作品が大量に流出している。GOPは報道機関へのメールで、物理的なアクセスをしたとにおわせる発言をもしている。100TBのデータをインターネット越しに転送するには数週間はかかると思われ、これにソニー・ピクチャーズの管理者がまったく気づかなかったとは考えにくく、一部のデータに関しては内部から流出した可能性もあるのではないか?

 報道機関からの質問に対し、メールで返答したり、クリスマスプレゼント(流出データと思われる)を欲しい人はメールを送信するよう募集したりしている。北朝鮮による犯行だとしたら、こんなことをするとは考えにくい。

 マルウェアは部品単位で販売されており、複数のグループが同じツールを共有している可能性がある。そのため北朝鮮が作ったものと断定するのは難しい。また過去の事件についても北朝鮮の犯行だとする証拠はあがっていない状態だ。IPアドレスについては、バンコクのホテルなどの名前があがっているが、プロキシサーバーとして動いていたり、以前にスパム送信に使われていたり、脆弱(ぜいじゃく)性が残った状態でだれでも利用できる状態にある、などのことがわかっている。他のサイバー犯罪者も利用できる状態にあるため、それが北朝鮮の証拠とは言い切れないであろう。

 公開中止が目的であれば、このやり方は間違っている。大きく騒ぐことで注目されて、逆効果になってしまうからだ。今回の事件でも、結果として「ザ・インタビュー」は公開され、大きな注目を集めている。北朝鮮政府としては、とても不愉快な結果になっているわけだ。(中略)本当に「ザ・インタビュー」の公開中止を要求するなら、今回のように騒ぐことは逆効果になるので、合理的ではない。


 かなり合理的な推論だと思います。

 今回の事件をきっかけに私が初めて知ったことの中には、北朝鮮が国全体で2の十乗(1024個)に収まるIPアドレスしか使っておらず、しかも北朝鮮のサーバはすべて中国の通信会社である「チャイナユニコム」を経由したものに限られるということがあります。ちなみに日本は2億を超えるIPアドレスを使っています。今回実際にアメリカは北朝鮮に対して「報復」を行ったと推測されますが、まともに攻撃されたらひとたまりもないネット環境しかない国が敢えて莫大な危険を冒してアメリカを挑発するものかは大いに疑問です。

 27年に及ぶ軍歴を持つ元将校の脱北者の Choi Joo-hwal さんは「エリート士官であれ一般の兵士であれ、全員農家を手伝わなくてはならなかった。それが日常生活の一部であり、政党組織としての任務でもあった」と語っています。つまり北朝鮮では軍隊が「軍事訓練」の名目で農作業を行っているのが実際だというわけです。
http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPTYE93904H20130410?pageNumber=1&virtualBrandChannel=0

 国内では石油が枯渇しており、バイク通勤が禁止になっただけでなく、漁船に供与する石油にも不足して、海産物さえまともに採れなくなっているという話も伝わっています。そんな状態ではまともな軍事教練自体が行えるはずはないでしょう。こうしたことについては真偽は確認できていませんが、それでも北朝鮮のエネルギーが決定的に不足していることは、夜間に撮影された航空写真からだけでも十分伺えます



 北朝鮮の一般的な人たちは飢えで苦しんでいるが、朝鮮人民軍の兵士には優先して食料が回されており、兵士たちはしっかり食べていると言われていましたが、実際には兵士にも十分な食料は行き渡っていないようです。以下の動画をご覧下さい。



 アメリカが急に北朝鮮に対して強硬になっているのは、北朝鮮のミサイルが米本土に届くまでの開発が間近になってきたということへの激しい牽制なのか、日朝交渉を分断しようとする策謀なのか、体制崩壊が間近と見た上で崩壊に至らしめたのが米国の一押しだとアピールしたいためなのか、よくわかりませんが、いずれにせよ崖っぷちにある北朝鮮がアメリカによって一層追い詰められてきているのは確かです。しかもアメリカは今回発表した金融制裁の後にも追加制裁があることをちらつかせています。

 日本としてはこの流れに追随して再度北朝鮮への制裁を強化して拉致問題の真剣な解決を北朝鮮に迫ることがまず重要かと思います。ただそれと同時に、北朝鮮の体制崩壊が起こった時にどう対応するのかについて、まじめに検討すべき時期に来ているとも私は思います。


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