安倍総理をヒトラーに見立てて批判するのは不見識だ! | 岐路に立つ日本を考える

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 私は日本を世界に誇ることのできる素晴らしい国だと思っていますが、残念ながらこの思いはまだ多くの国民の共通の考えとはなっていないようです。
 日本の抱えている問題について自分なりの見解を表明しながら、この思いを広げていきたいと思っています。


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 昨今、安倍総理をヒトラーに見立てて批判することが随分増えてきたように思います。例えば、日本共産党の池内さおり氏は共産党の赤旗祭りの会場で安倍総理をヒトラーになぞらえるように加工した写真をドラムにはりつけ、そのドラムを盛んに叩きました。この池内は今回の衆議院議員選挙で当選し、現在衆議院議員となりました。



 紅白歌合戦でもサザンオールスターズの桑田佳祐氏が付け髭をはやして安倍総理をヒトラーになぞらえて、間接的に批判しました。TBSのサンデーモーニングでも「群衆」をテーマにしながら、ヒトラーが群衆操作のために経済政策を使っていたなどとして、ヒトラー政権と安倍政権との類似性を打ち出すような番組作りをしていたようです。

 他にもいろいろとあり、マスコミにもこうした論壇がよく登場しますが、こうした批判はフェアではないと言わざるをえないでしょう。

 まず第一に、日本においてはこうした反体制的な意見が国内で自由に表明することができるだけでなく、メジャーなマスコミにおいても普通に取り上げられているということがあります。そしてそのような批判を行った人たちの社会的地位が剥奪されたといった話は皆無です。これに対してナチスは1933年1月に政権を取った後、直ちに社民党系の官吏を追放してゲシュタポ(秘密警察)を組織し、同年中にゲシュタポが行政訴訟の対象外として、際限がないといってよいほどに自由な行動をゲシュタポに与えました。こうしたことにより、国民の言論を徹底的に監視できる制度をナチス台頭の初期段階で築き上げたわけです。こうしたナチス的な行動が安倍政権成立後に日本で行われたのでしょうか。むしろそういうことが行われることが絶対にないことに安住したうえで、安倍総理をヒトラー呼ばわりするという倒錯した事態が発生しているのではないでしょうか。彼らマスコミは特定秘密保護法が成立したら、日本の言論の自由は壊滅すると騒いでいたはずですが、今なお首相をヒトラーと同一視するような現実離れをしたことをやってみせても、何らのおとがめもないのが実際ではないでしょうか。

 第二に、安倍政権は政敵を暴力と強権によって追い払うような所業は全く行っていないという点です。ヒトラーは政権奪取後に政敵を逮捕しては「国家緊急防衛措置」として、裁判を省いてすぐさま処刑するということを繰り返していました。ドイツ国会議事堂放火事件を共産党のせいにし、さらに事件の規模を実際よりも10倍も拡張して報道させるなど、謀略を用いて野党を弾圧することを相次いで行いました。そして緊急令を発令し、共産党の国会議員全員を含む野党の多くの議員を逮捕して国会に出席できないようにしておいて、国会が内閣に立法権を委譲する全権委任法を成立させました。これに類似したことを安倍政権は何一つやっていないでしょう。

 第三に、安倍政権には民族差別的な発想がないという点です。ナチスの親衛隊になるためには、単にナチスが好きだというだけでなく、血統が極めて重要な働きを持っていました。親衛隊を率いたヒムラーは「品種改良をやる栽培家と同じだ。立派な品種も雑草と交じると質が落ちる。それを元に戻して繁殖させるわけだが、我々はまず植物選別の原則に立ち、ついで我々が使えないと思う者、つまり雑草を除去するのだ」と述べています。金髪で青い目をしている長身の北欧人種でなければ入隊できず、1750年までさかのぼって血統的に問題のない者だけが選ばれたのです。親衛隊員には婚姻条例に基づいて親衛隊員の婚姻に問題がないかを調査する「親衛隊人種及び移住本部」まで用意されていました。

 他にもナチスと安倍政権との違いにはいろいろとあるわけですが、こうして見ただけでもヒトラーのナチス政権の異常さが際立っていたことに気付くはずです。これほどまでにヒトラーとは違う安倍総理をヒトラー呼ばわりするのは、あまりにも現実から乖離していると言わざるをえません。

 念のために言っておきますが、私は安倍政権の経済政策は全く支持できません。格差を拡大し、日本をウォール街の金融資本の草狩り場にしたがっているとすら感じるその政策は、ある意味で私の考えているものと真逆ともいえるものです。また、国会を軽視し、経済財政諮問会議などの諮問機関により大きな価値を置いている政治運営の手法にも、民主主義を形骸化させる危険を感じています。しかし、その程度はヒトラーとは雲泥の差と言ってよいほどに大きいものであり、安易に同一視することは許されることではないと考えます。

 ヒトラーやナチスとなぞらえるべきはむしろ中共政府の方であり、さらに言えば中共政府の方がナチスよりもさらに陰謀的で徹底しているとさえ思われるのに、なぜか日本の主要マスコミは中共政府をナチス呼ばわりすることは一切ありません。この日本のマスコミの歪んだあり方こそ現在の日本の姿を象徴的に表しているものだと、私には感じられます。


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