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よく知られているように、アメリカはロビー活動の国です。企業や業界団体が多額の費用をかけて、自分たちに有利な政治が展開されるように働きかけることが合法化されている国です。この結果、当然ながら、特定の企業や業界団体の意に沿った政策が採用されることが日常になっています。この結果、一般のアメリカ国民の求めるものとアメリカ政府の政策が乖離していることは、決して珍しいことではありません。
2010年9月に行われた NBC ニュースと『ウォールストリートジャーナル』の世論調査によれば、69%のアメリカ人が「米国と他国の FTA(自由貿易協定)は米国の雇用を犠牲にしている」と答え、その一方で、FTA がアメリカに利益を与えてきたと答えたのは、たったの17%であったと、元農林水産大臣の山田正彦氏は話しています。NAFTA(北米自由貿易協定)によって苦い経験をしているアメリカ国民は、自由貿易協定に対する強い不信感を既に持っているわけです。
オバマ大統領が Change と Yes, We Can の2つ合い言葉で国民を熱狂させて、大統領になったことは、まだ記憶に残っているかと思います。「世の中は変えられる」し、それは「できるんだ」と訴えて、熱狂的な支持を集めました。アメリカ国民は、特定の企業や業界団体の意に沿った政策ばかりを実行する政治を拒絶し、これを変革して国民のための政治を取り返してみせるというオバマ大統領に大きな希望を託したわけです。そして実際、選挙戦においては、オバマ大統領は自由貿易協定に対しても反対の姿勢を明確にしていました。
言うまでもなく、オバマ大統領は現在 TPP を推進する立場にいるわけですが、これはアメリカの一般国民の求めている政策ではなく、特定の企業や業界団体の意を優先させたものにすぎません。私がわざわざ説明するまでもないことだろうと思います。
ところが、この点に関して極めて不思議なことがあります。このような特定の業界や特定の企業の利益と結びつきそうなことについては、アレルギーではないかと思われるほどの過敏な反応を常に見せてきた日本のマスコミが、アメリカの特定企業や特定団体の意向を色濃く反映させられていることが明白なこのTPPに関して、この視点での報道を一切してきていないことです。
よく知られているように、TPPに交渉参加する際には秘密保持契約を結ばなければならないため、交渉内容がどうなっているのかは、国会議員でさえわからない状態にあります。それなのに、アメリカの特定企業・団体の一部の人たちには交渉の進展具合についてまでオープンにされ、今後の交渉についての注文までつけられるようになっています。この1点だけとってみても、この TPP というものがろくなものじゃないことが十分に理解できるはずです。
さて、マレーシアのムスタパ貿易産業相は、甘利 TPP 担当相らと会談した際に、日本側が「(TPPに対する日本の)反対派は徐々に静まりつつある。(状況は)半年前ほど深刻ではない」と発言したことを明らかにしました。随分となめられたものです。我々の怒りがどれほど大きいものかを、甘利大臣にしっかりと理解してもらわなければなりません。
こんなろくなものじゃない TPP には断固反対だという意志を、我々はもう一度盛り上げて示すべきだと思われる方は、ブログランキングへの投票をお願いいたします。
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