こんにちは
私はニースのロミオで羽生くんのファンになりました。
全世界の皆さんもニースの演技大好きですよね。
あの演技で、特に転んだところからの巻き返しの展開がすごいんですが、
本人が転んだところをどう感じていたかの当時の雑誌のインタビューがあります。
転んだ部分についての答えの描写が特に面白く、
今となっては貴重なインタビューですので、書き起こしてご紹介しますね。
気合いで跳んだ3A+3A
ーーお疲れ様でした。(世界選手権のエキシビション練習後に取材)
「どうもありがとうございます。これ、僕のですか?(と、手元にあったフリーの点数表を見て)」
ーーはい。この点数を見て、いかがですか?
「(プログラムコンポーネンツが)よく83点も出ましたよねー。全部8点台っていうのは初めてです。スケーティングスキルは8点台が出たこともあったけど、それ以外が8点台ってなかなかなかったので」
ーー高い点数ですね。
「高いですよね。パフォーマンスは8.39で、インタープリテーション(曲の解釈)なんか8.43ももらってるし。ほんと高いなーって。だって、ディダクション1(転倒による減点)ですよ、僕。思いっきりあれで演技止まりましたよね?それでもトランジション(要素のつなぎ)で8点台がもらえたっていうのは、すごく嬉しいです。」
ーーもし転倒がなかったら?
「もっとよかったのかな?でも(転倒して)よかったです。だって、あれがなかったら、ねえ(と笑う)」
ーー転ばなかったら休めなかった?
「(大きくうなずく)しんどかった(笑)。はっきり言ってしんどかったです。」
ーーフリー直後の囲み取材などで、「転んだことで休めた」と言っていましたが、実際あの瞬間、「転倒しちゃった」ではなくて「休めた」とポジティブに捉えられましたか?それに、演技中に転倒して、実際に休めるものですか?
「(あとで映像を見たら)あんまり(転倒自体に)時間がかかってなかったですよね。すぐ立っていましたね」
ーーそう、すぐ立ち上がりましたね。
「ただ、自分の中では結構長かったんですよ。(転んでいるあいだ、宙に)飛んでいる感じだったんです。こうやって(と転倒シーンをスローモーションで再現しながら)『あ、コケてる、俺~』みたいな(笑)。で、コケて、『さあ、ここからどうしよう』みたいな。とりあえずいろんな思考がめぐっていて、『立たないと』と思って立って、『やばい、(次の)アクセルの時間に間に合わない』と。ふふふふふ」
ーーと、あのほんの数秒で思っていた?
「はい。そう思って、(アクセルまでの軌道を)短縮していったんですよ。もっとこう(と、長い軌道を指で宙に描きながら)行かないといけないのに、結構直線で行っちゃたので、『やばい、(アクセルへの)スピードが足りない』って(笑)。結果、『もういいや、(アクセルへの助走の)カーブ、めちゃくちゃにしちゃえー』って。『カーブ変えてもいいから、思いっきしスピード出しちゃえー』と思って、グウォーってアクセルに行きました」
ーー演技中にいきなり軌道のカーブを変えても、ジャンプって跳べるものですか?
「僕、アクセル+アクセルまで跳べるので、大丈夫です(笑)。フリーの日の朝の練習でアクセルがパンクしたんですけど、そのあとにもう1回アクセル跳んでおいてよかったなって思いましたね」
ーーそして本番では、転んでも立ち上がり、トリプルアクセル+3回転トウループをしっかり決めて、世界中を泣かせた(笑)。
「ふふふふふ。『よく跳んだな』って皆に言われますけど、(阿部)奈々美先生は『絶対、意地でも跳ぶと思ってた』って言ってました」
「踏み切る前に『あ、いける』って」
ーー踏み切る前に?
「カーブに入った瞬間に、もう『絶対にコケねーからなー!』みたいな感じでいったんです。もう、気合で。だってアクセルを降りた瞬間に、(3回転)トウループを跳ぶ気だったくらいです。それに映像を見返したら、『余裕だったんだな、トウループ』って思いました。『もう1個(ジャンプを)つければよかった』っていうくらい(笑)」
ーー最後の3回転サルコウはどうでしたか?今季は鬼門になってしまっているところもありますが(笑)。
「あれは、もう意識がぶっ飛びそうになりながらも、跳びました。あはははは。それこそ、いろんな方から釘をさされていたんです。『サルコウは、ねえ』って感じでずっと言われてきていたので(苦笑)。だから跳べてよかったです」
観客のおかげで最後までがんばれた
ーー昨日の4分半の演技の中で、肝はどこだったと思いますか?
「コケたところですね。コケて、会場に来ていた全世界の方々に、もうほんっとうに拍手をもらったじゃないですか。がんばれーって」
ーーすごかったですよね!
「すごかったじゃないですか!あそこ(転んだところ)が一番拍手をもらったと思います。4回転よりもあそこのほうが盛り上がっていた(笑)。ほんとうにあの(拍手、歓声)おかげで、最後までがんばれたと思いますね」
ーーそしてものすごい拍手と歓声の中、終盤のストレートラインステップにむかいましたね。ステップを始める前のポーズで、『うわー』と叫ぶような強い気迫を見せていましたが、実際にシャウトしていましたか?
「叫んでいました。いつもは叫ばないんですけど、全日本とここ(世界選手権)だけは叫んでいました」
ーー声が出た?
「出ました。出ました!」
ーー意識的に?
「息ができなさそうだったから、とりあえず息吐こうって(笑)。あとは、気合!」
ーー気合の叫びなのかなと思ったんです。お客さんもみんな「わー」ってなっていましたよね。
「そう!みんな『うわー』って叫んでいたから、こっちも『うわー』って叫んで(笑)。そんな感じ、ノリです(笑)」
ーーそして演技が終わって。感激していたように見えました。
「あんまりコンディションもよくなかったんです。まず『よく足、もってくれた!』って足に感謝して(右足を捻挫していた)。いや違う、まず、(演技直後に)右手をあげたんですけど、(手が頂点にある時に)『あれ?これ、オレの力じゃない』って思って。歓声を聞いたりスタンディングオベーションしてくださってるのを見て。で、手がだんだん下がってきて」
ーー「オレの力じゃない」とは?
「僕だけの力じゃないなあって思ったんです。やっぱり、コケた後の拍手がなかったらあそこまでできなかったし、そのまま帰ろうかなってくらいだったし(笑)。演技が終わって観客の皆さんの歓声を聞いた時に、やっとパワーを全部受け止められたのかなって気がしました」
フィギュアスケートDays Vol.14
羽生結弦『僕だけの力じゃない』 文 : 長谷川仁美 より
この記事を書いてる時にグッドタイミングで、
中居くんの番組にニースのロミオの演技が❗
それだけじゃなくて、16、7歳当時のすごく貴重な映像が満載で必見です。
録ってない~(*´ノД`)
ふうせんさんがありがたくもTwitterに上げてくださっていました。
ご許可頂いて、貼らせて頂きました♡
感謝します!ありがとうございます!
⭐⭐⭐⭐⭐⭐
このインタビュー読むと、すごい若い!って感じがします。
しゃべり方が自然体で、羽生くんの素が感じられるというか。
2012年くらいまでの雑誌のインタビューや、あと、テレビのインタビューもこんな感じで、なんだか本当の羽生くんに会ったというような嬉しさを感じてしまうんです。
「コケてる、俺~」とか
「絶対にコケねーからなー!」とか
って考えながら滑ってたんだと思うと面白い(笑)
この演技の肝が「コケたところ」。
でも、本当にそうですよね。
あそこからの展開が息をのむ展開でした。
なんか複雑ですけど、転んだから良かった、それだからこそドラマチックで忘れられない演技になったっていうことがあるんですよね。
「そのまま帰ろうかなってくらいだったし」。
って、羽生くん、そのまま帰らなくて良かった(笑)
その時その時でできる精一杯を続けて繋げて、そしてそれが今に繋がっていってるんだなーって。
この世界選手権の目標が「最後までやってやる!」。
足は、フリー棄権を考えるほどの状態でした。
諦めず、死力を尽くせば成るんですね。
完璧な演技の上をいく、記憶に残る演技になってしまう事が。
ニースのロミオは、転んだシーンを含めて全体が美しい。
まさに「世界を狂わせる17歳」のみんなの人生を変える演技でした。
(追記)インタビューの続きはこちら「17歳羽生 結構、青春はしているかも」
◆写真は、雑誌を撮ったものです。