☆前記事
1,2時間目の授業は図工。
そのときは、卒業制作の教室表示板を作っていました。
(「1-2」だの「保健室」だの・・・そういうやつです)
朝の会の話のせいか、教室はしんとしていました。
ただ、彫刻刀が板を削る音だけが聞こえていました。
静かな教室の中、
サキは、ぽろぽろと涙を流しながら、彫刻刀を動かしていました。
私には、サキにかけるべき言葉が見つかりません。
椅子を持ってきて、ただ黙ってサキのそばに腰掛けました。
すると、サキがぽつりぽつりと話し始めました。
嫌われてもいい
仲間に入れてもらえなくてもいい
でも、いつかは許して欲しい
優しくなりたい
優しい人になって
いつかはみんなに許してもらいたい・・・
すると突然、ユウコが立ち上がって叫びました。
「サキちゃん、ごめん!悪いのは私たちなの!」
ユウコは泣きながら、サキに駆け寄ってきました。
そして、サキを抱きしめて泣きじゃくりました。
「サキちゃん、ごめんね、わかってあげなくてごめんね・・・」
サキを拒否していたグループの子たちも、次々にサキの元に駆け寄りました。
「サキちゃん、ごめんね・・・!」
そう言って、みんなで抱き合って泣き出しました。
すると、それを見ていた子がもらい泣きをはじめました。
サキを班に入れてもいいよ、言ったアイも
「サキちゃんがいやだ」と言った子たちも
そして涙の輪が広がり・・・・
ついには、クラスの女子全員が泣き出しました。
サキのもとに集まって泣く子
自分の席で泣く子
友達と抱き合って泣く子
クラスが、あたたかい涙でいっぱいになりました。
よくわかっていない男子たちは、ぽかーんとしていましたが・・・
で、私はというと・・・
「何でもないから!」
「教室に戻りなさい!」
と、廊下で叫んでいました。
ちょうど休み時間だったので、他のクラスの子たちが
「何事だ!?」と、見物につめかけたのです。
私は、その野次馬を追い払うことに精いっぱい。
事件の締めくくりとしては、なんとも格好のつかない話です![]()
今回の件では、私は本当に何も出来ませんでした。
子どもたちが、自分たちの力で道を選んだのです。
(でも、内心「ここまでクラスを育てた私、えらい!」とは思いました
)
私は、サキの承諾を得て、今回の件を学級通信に載せました。
題して「みんなが泣いた日」。
通信を配布した翌日、サキが笑顔でこう言いました。
「先生、通信を家で読んで、また泣いちゃった」
おしまい![]()
ここまで読んでくださって、ありがとうございました!

