現在、初めての作業を行っている。
若いころから小説を書くことに憧れていた。

このところ論文めいたものを書くことに躊躇いを感じている。

最初はショートショートやエッセイなどを試しに書いてみた。

特段、何ということもなくただ書いただけである。

この度、故あって
一冊の本になるほどの量で小説を書き綴っている。
未だ、終わりには至っていないものの
筋書きはある程度決まっている。

書き進めるにつれて、
自分というものの中にいる
もう一人の自分と対話していることに気づかされた。

それが何であるかなどと意味などつける気はないが、
小さな自己への挑戦と発見のように思えてきた。

慣れないことに苦労しているが決してつらくはない。

あえて言うのであれば、
少し苦笑を含めた愉快とでも言うところかもしれない。

こんなことを思いながら、
先日題名のない音楽界を久々に耳にした。

その日のテーマ非常に愉快であった。

そのテーマは、
曲はよくわかるが題名や作者が思えられていない曲
ばかりを集めるという少し工夫のこもった内容であった。

特に、感じ入ったのは、
ルロイ アンダーソンという作曲家の
タイプライターという曲である。

この曲を聞けば多くの人が、
なんとなく聞いたことがある曲である
と答えるのではないかと思う。

私もこの曲はよく知っている。

しかし、
その番組のテーマ通りにルロイの名前は思い出せないし、
タイプライターという直接的なネーミングがなされている
などということにも気づかなかった。

この曲はフィギュアスケートでも使用されることもあり、
そんなこともあって私は聞き覚えがあった。

不思議なものだが人の記憶というものは
一部は鮮明であるが、
特徴的でないものについては
ぼんやりとして記憶が定かではない。

こんなことを思いながら、
もうひとつふと気づくことがあった。

日本の政治家も私と同様
記憶が定かでないことが多いことになる。
また、
自分の物語を勝手につくりだし、
事実のごとく語ることについても。


Typewriter Leroy Anderson.