なぜ車を使って避難するのか? | 民間防災 「防人 司」のひとりごと・・・

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民間の「危機管理者」として行事の「保安計画」「地区防基準」策定のお手伝い、活動グッズの企画・販売を手がけています。
各地で「民間防災」を起動する「防人」を募りながら、趣味や特技・資格・職域での非常時活動体の構築にもお手をお貸ししています。

3月の伊予灘地震、住民大部分が「車避難」 事前調査で「徒歩」回答も… 京都大防災研調査

http://sankei.jp.msn.com/west/west_life/news/140510/wlf14051013150018-n1.htm


なぜ車を使って避難するのか?
要素はたくさんありますよね!
そこには「物理と道理」しかないのですから・・・


【絶対歩行避難】の難点として
(1)避難所となる場所までの距離
   地形によっては起伏(坂道)がある場合、(3)の歩行困難者の移動時には車椅子やストレッチャーが必要。
   忘れてはならないのが、渦中となるのは一般家庭だけではないこと。
   特に「寝たきり」の方が居る家庭や福祉施設からの移動時は、「避難」=「車両」となってしまう。


(2)その時点での人数
   家族構成もさることながら、イベントや宴会などの集客行事を行っている際に発災すれば、当然各々のクルマを用いての移動を考える方が多くなる。


(3)歩行困難者や歩く速度など
   (1)にもいえることだが、一般家庭にも歩行困難者が居れば、福祉施設にも多く集まっている。
   福祉施設を考えれば、一度に移動させられる人数にも限りがあろうことから、時間をかけずに搬送する為には当然「クルマ」を用いることとなる。


(4)家財や避難所生活の為の荷物も搬送しなければならない
   搬送は「人」だけではない。
   移動先には健常者ですら身の回りの品々を人数分持ち出すこととなり、さらには、要介護者のためには医療機器も必要なのだ!


こういった「その時点における身の回りの環境(状態・状況)」によっては、瞬時に「クルマ」を用いる考えがよぎるんです。

しかも、その場で「活動」しなければならない方々も居ますよね。
消防団員や我々の様な「防災人」。

この方々も生活道具以上に「活動ツールやグッズ」を手元においておかないといけません。

それだけ荷物は増えることを念頭において、「地区防災計画」を組み立てておく必要があるんでしょう。


では仮に、避難先に「クルマ」が一台も無かったら??

夜間の発災で停電。

「テレビ」も「ラジオ」も「灯り」も無い状況下では「人を落ち着かせる」ことは出来ないでしょう。

そして万一、急患が発生したならば?

結論として

人が抱える量より多く運べ、歩くスピードより速い手段を考えるのは「当たり前(当然)」な行為なんですね!!

この行為を抑止することは出来ない!というのが結論です。

一度、今の状況で「アナタが歩ける距離」を考えておくといいかもしれませんね!

☆一次避難場所(集合場所)までの距離

☆一次避難場所から指定避難場所(滞在型避難所)までの距離

☆そこから広域(拠点)避難所まで

もちろん「ルート」選定も必要となります。

【総合企画室】のある金沢市舘町は一次避難場所から次の指定避難所となる「城東体育館」までは向かうことは出来ません。
というのも、「城東体育館」に向かうには丘陵地をクリアしなければならないのです。

しかも向かう先は急勾配の登り坂であり、ルートは農道というより林道に近い通路を用いなければ最短ルートにはならないのです。

その最短ルート以外を選定するとなれば、一旦県道を湯涌方向に向かい、広い道路を用いることとなるのですが、大幅に迂回となる上、「城東体育館」に向かう道中には、隣の地域の避難場所となる東浅川小学校や坂を登れば短大・大学などがあるんです。

矛盾すると思いませんか?
そこが側近の避難所なんですが・・・

したがって我「新舘」地域は「一次避難場所」を軸にベースキャンプを張ります。
ただ困ったことに、この地域にはお店がありません
燃料も食料品も手にすることが出来ないのです。

このように目線を持っていただければその地域に不足する「穴」も見えてきますし、それが見えれば「地区」としての対策も練っておけます。
しかも、その対策は家庭へも反映でき、各家庭で揃えておいてもらう品々にも反映させることが出来ます。

我地域へは「町会費」の中に「防災費」を計上していただきました。
積み立て型で、張りテントを3張り購入していただき、ひとつは「遺体安置」を目的に目隠し場所として、もう二張りは「その時点で救われた方々との会合などを行う共有スペースと、物資保管」にとアドバイスさせていただき、各家庭には各々の生活グッズと寝床用の簡易テントの準備を説明させていただきました。

張りテントは上空からの目印にもなり、見えれば物資供給へも対応していただけると考えてのことです。

今現在でも歩行困難者(高齢者)世帯があることで、これから次の時代にはさらに増えることを想定し、アドバイスさせていただきました。

本来なら、物資の供給には「広域避難場所」となる「南小立野小学校」まで向かう必要があるのですが、最短ルートの県道舘町交差点から土清水交差点(両側急斜面エリアでがけ崩れの恐れがある道路)までが非常時通行止め地点となってしまい、ここでも迂回ルートを攻略しなければなりません。
この地域の一番のネックがここにあるんです。

そういう土地柄に位置する【総合企画室】なのですが、反面、「外に居る時に戻ってこれるのか??」も攻略しなければなりませんよね!

「外に出られない=外から入り込めない」
なんと陸の孤島になり得るってことですよ!ここは