大地  パール・バック作


https://www.amazon.co.jp/大地-1-岩波文庫-パール・バック/dp/4003232011


この本は私が初めて時間を忘れて夢中になって読んだ長編小説です。

小学六年生の夏休み、叔母の家に泊まっていた時、納屋の中に埃を被った本棚を見つけてその中で偶然手に取った一冊だった。
多分、叔父が子どもの頃に読んだものでしょう。分厚くて字がびっしりの本だったけれど、片田舎で娯楽も何もない山の中。
他にやる事もないので読み出した。

舞台は太平天国の乱くらいから、辛亥革命
後くらいの中国。まさに激動の時代。
貧しい農民から大富豪になり、没落していく一族の物語。

この本で19世紀から20世紀にかけての世界的な変革期だったり、中国の風土や国民性、土地信仰、人間の欲望や剥き出しの感情、諸行無常など、子どもながら肌で感じ取った気がする。その日は一睡もせず、一気に読み切った。

作者がアメリカ人の女性だと知ったのはだいぶ後だったと思う。中国に住んでいたとはいえ、外国人のしかも女性が書いたなんて本当に驚いた。

その後、成長と共に何度か読み返したけれど、その都度新しい発見があって読み飽きない。多分、歳を取るとともに色々な経験をして若い頃に気がつかなかった表現や登場人物への共感が出来てくるからではないかな。

そう思うと、おばあちゃんになった時にもう一度読み返すのが楽しみだ。