カナメの学校。

 

 

「あーん、KENT超かっこいいー」

 

「…」

 

 

 

この学校、女子率が高いせいか異常に男性アイドルやタレント、

モデルの名前をよく聞く。

特にケントは同世代という事もあって上位の支持率だ。

 

わたしがケントの彼女かー…こんな事知れたらどうなるんだろ…
ケントが幼馴染だという事も誰にも話していないとゆうのに。

 

 

 

ぞっとするカナメ。

 

 

 

電話が鳴る。

見てみるとキリトからの着信だった。

 

わたしは無視した。

が、1度切れてまたかかってくる。

 

これはしつこくかけてくるな…

渋々電話をとる。無愛想な声で。

 

 

 

「なに?」

 

「ごめんカナメちゃん…どうしてももう一度話がしたくて…」

 

「私はない。2度と連絡しないでって言ったじゃん」

 

「お願い…最後でもいいから会って話がしたいんだ…」

 

 

 

わたしは溜め息をつく。

 

 

 

「わかった。これが最後。

17:00に表参道のケヤキ並木で待ち合わせ」

 

「わかった…」

 

 

 

電話をきった。

私も甘いなぁ…

 

 

 

 

 

表参道駅前。

 

ケヤキ並木に向かうと木にもたれてるキリトの姿が見えた。

 

 

 

「お待たせ」


「カナメちゃん…。リナの事は本当にごめん!

顔…まだちょっと腫れてるね…」

 

 

 

キリトが私の頬に手を触れようとしたから、ぱしっと振り払った。

 

 


「キリト、私ケントと付き合う事にしたんだ」

 

「え?」

 

「だからキリトがリナさんと別れようがそのままだろうが私には関係ない。
リナさんにもそう伝えて」

 

「……嘘…」

 

 

 

キリトの顔色が一気に真っ青になる。

 

 

 

「嘘ついてどうするの?だからキリトもさー…」

 

 

 

私の肩に手を置きふらつくキリト。

 

 

 

「キリト?」

 

 

 

具合が悪そうに寄りかかってきた。

 

 

 

「え、なに…どうしたの!?」


「ごめ……気分が…」

 

「えぇ!?大丈夫…」

 

 


意識を失うように全体重をかけられた。

バランスを崩しわたしは地面に座り込む。

 

 

 

「ちょっ…マジかよ!」

 

 

携帯を取り出し119通報。
救急車が来て運ばれる。

 

 

 

 

 

病院。

 

 

「自律神経失調症?」

 

「そうですね。

過度の疲労とストレス、それから栄養失調の症状がみられます。

今は点滴をして様子を見てますが…この方、きのうも倒れて救急車を呼ばれてますね」

 

「きのう?何時くらいですか?」

 

「18時頃ですね」

 

 

 

私がスタジオを出た後だ…

 

 

 

「とにかく、今は安静にして様子を見ましょう」

 

「あ、ありがとうございます」

 

 

 

病室のベッドで眠るキリト。

その顔を心配そうに見るカナメ。

 

 


何がどうなってるのかさっぱりわからない。

軽く前髪に触れると、

 


「ん…」

 

「キリト!?」

 

「カ…ナメちゃ…ここ…」

 

「病院!

キリト急に倒れたんだよ!」

 

「…そっか。ごめん…迷惑かけちゃったね…」

 

「そんなのどうでもいいよ!

よかった…ホントよかったー」

 

 

キリトの手を両手で握り、顔をうずめた。

 

 

 

「カナメちゃ…」

 

「キリト!?」

 

 

 

勢いよく入ってきたカイトさん。

2人ともびっくり。

 

手を繋いでるのを見て、

 

 

「…何だ、邪魔したな」

 

「そんなんじゃないよ。

ごめんカイトさん。心配かけちゃったねー」

 

「本当だ。

社長も心配してたぞ?後で電話しとけよ」

 

「母さんが?はは…まさかこの歳で親に心配かけるとはなー…」

 

 

 

苦笑いをするキリト。

カナメ、その顔を見てほっとする。

 

 

 

「じゃあカイトも来た事だし、私は帰るよ」

 

「…カナメ、ちょっといいか?」

 

 

 

 

 

病院の廊下に連れられたカナメ。

 

 

 

「何でお前がキリトと一緒にいるんだ?」

 

「キリトが私を呼び出したんだよ。

それで話をしたら急に倒れて…」

 

「話?何の?」

 

「…あー…えっと…(言っていいのか?)」

 

「何だよ?言えよ」

 

「あのー…私、ケントと付き合う事になったんだけど…

その事をキリトに言ったんだよ。
だからリナさんとどうなろうと私には関係ないって…」

 

「それか…」

 

 

カイトが頭を押さえ舌打ちをした。

 


「やっぱりマズイ…ですよねー?

ケント、売れてきたのに…」

 

「…カナメ、よく聞けよ?キリトが倒れた原因はお前だ」

 

「は?何で私…」

 

「お前がアッシュみたいだからだ。

見た目だけじゃない…中身までそっくりだ。
キリトはお前を見た時からアッシュと混合してるんだよ。
アッシュが生きてる続きをお前でまかなおうとしてるんだ」

 

「何それ…」

 

「お前にとってアッシュなんて他人の話しかもしれないが聞いてくれ。
まずはアッシュの事だが…」

 

「アッシュの事なら知ってる」

 

「…そうか。

アッシュが死んだ後のアイツは目も当てられない位憔悴しきってな…
今回みたいに倒れたり気分が悪くなるなんて事が日常茶飯事にあっったんだ」

 

「え?」

 

「1年後にはモデルを続けられないくらいまでになって業界自体を去った」

「…学業に専念する為じゃないの?」


「表向きはな。本当は違う。

異常な位の入れ込みようだったからな。

それ位キリトにとってアッシュの存在は大きかったんだ。

17年経った今、明るく振舞ってはいるがアイツはまだその事を引きづってる。

だからお前を見た時はキリトが少しでも前に進めるんじゃないかって安易な気持ちで会わせた。

だが結果はお前がいないと精神バランスが保てないほど心が不安定になってる」

 

 


カイトの話しを聞いて真っ青になった。

 

まさかアッシュが死んだ事でキリトの人生をそんなに変えてたなんて…

 

 

 

「お前とケントの気持ちを無視してこんな事を言うのは何だが、

少しの間でいい、アイツが落ち着くまででいいんだ。

キリトの側にいてやってくれないか?」

 

「ちょっと待ってよ…。急にそんな事言われても…」

 

「それはわかってる。

だが考えといてくれ、オレはアイツのあんな姿なんてもう見たくないんだ」

 

「カイト…わかった。

少し…時間を頂戴」

 

 

 

 

 

カイト、カナメを玄関まで送る。
カナメの元気がない様子にカイトも居た堪れない。

 

 


「カナメ、本当にすまん」

 

頭をさげるカイト。

 

「謝るなんてカイトらしくないよ。じゃあね」

 

 


走ってその場を離れる。

駅のホームでぼーっと電車を待つカナメ。