母の中に生まれた立て直し衝動が、
どのようにして子どもへの介入へと形を変えていくのかを見てきました。
そこにあったのは、
性格の問題でも、支配欲でもありません。
回収できなかった感覚。
不安を抱え続けてきた時間。
役割を降りる場所を持たなかったこと。
それらが重なった結果として、
母は「関わりすぎてしまう位置」に立たされていただけでした。
けれど、ここでひとつ重要なことがあります。
この無理は、関係性の中だけで完結するものではありません。
抑え続けた緊張。
境界を越え続けた負荷。
立て直さなければと自分を追い立てる内側の圧。
それらは、
必ず母自身の体と感情に現れます。
多くの場合、
それが表に出てくるのが「この時期」です。
・疲れが抜けない
・理由もなくイライラする
・何もしたくない
・やる気が出ない
・体調を崩しやすい
こうした反応は、
怠けでも、甘えでも、気合不足でもありません。
それは、
役割を背負いすぎてきた心身が、
ようやく出してきたサインです。
この章では、
この時期に出やすい不調やイライラを、
「直すべき弱さ」ではなく、
ブレーキとしての心身反応として捉え直していきます。
1|なぜこの時期に限って、疲れが出るのか
この時期は、
本来なら「休んだあと」のはずです。
年末年始に休みを取り、
仕事や学校が一段落し、
一息ついているはずの時期。
それなのに、
・なぜか疲れが抜けない
・むしろ年末よりしんどい
・朝から体が重い
・理由のない倦怠感が続く
そんな感覚を抱く母は少なくありません。
ここで多くの母は、
自分をこう評価してしまいます。
「ちゃんと休めていない私が悪い」
「ダラダラしすぎたのかもしれない」
「もっとシャキッとしなきゃ」
けれど、問題はそこではありません。
この時期の疲れは、
休めていないから出る疲れではなく、
緊張が切れたあとに出てくる反動であることがほとんどです。
◎休んでいるはずなのに回復しない理由
母の多くは、
一年を通して「緊張状態」で生活しています。
・家族の段取りを考え続ける
・子どもの様子を常に気にかける
・トラブルに備えて気を張る
・先回りして崩れないように支える
これは、目に見える忙しさではありません。
気を抜かない状態が、
日常になっているということです。
この状態では、
体も心も「走っている」わけではありません。
ずっと、踏ん張っています。
踏ん張ったまま日々を回し、
踏ん張ったまま年末を越え、
踏ん張ったまま「一区切り」を迎える。
すると、この時期になってようやく、
その踏ん張りが少し緩みます。
このとき、心身はこう反応します。
「今まで無理してた分、表に出していい」
それが、
疲れ・だるさ・眠気・無気力です。
つまりこの時期の不調は、
怠けた結果ではありません。
むしろ逆で、
無理をしてきた証拠なのです。
◎緊張が切れたあとに出る反動
人は、緊張している最中には、
自分の限界に気づきにくいものです。
やることがある
役割がある
動き続けなければならない
そうした状況では、
体も心も「止まらないように」働きます。
けれど、
一時的にでも緊張が切れると、
それまで抑えられていた反応が、
一気に表に出てきます。
・疲れ
・イライラ
・落ち込み
・何もしたくなさ
これは壊れたサインではありません。
安全だと判断したから、出てきた反応です。
心身が、
「今ならブレーキをかけても大丈夫」
そう判断した結果、起きているのです。
にもかかわらず、
母はこの反応を、さらに否定します。
「こんなことで疲れるなんて」
「みんな普通にやっているのに」
「私が弱いだけ」
こうして、
本来ブレーキであるはずの反応を、
もう一度、気合で踏みつぶそうとします。
その結果、
不調は長引き、
イライラは強まり、
自分を責める思考だけが残っていきます。
ここで一度、
捉え方を変える必要があります。
この時期に出る疲れや不調は、
「立て直すべき問題」ではありません。
それは、
これ以上無理を重ねないために、
心身が出している調整信号です。
次の節では、
この信号を無視し続けたとき、
母の感情にどんな変化が起きるのかを見ていきます。
イライラや落ち込みは、
性格の問題ではありません。
それもまた、
役割を背負いすぎた結果として、
きちんと理由を持って現れている反応なのです。
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