11月13日
ただごとではない。あの時の母の声から察した。
どきどきする。
心がざわつく。
嫌な予感がする。
父はどんな姿なんだろう?
父の前で泣いてしまわないか?
上司に事情を話し、
「父に何かあれば、退職もする覚悟で帰る」と告げ、
夜勤明けですぐ準備をして飛行機に乗った。
絶対に主治医とのIC(インフォームドコンセント)は確約したいという思いから、
母にアポイントメントの調整はお願いしていた。
この時は、翌日に控えた医師とのICでどんな話をするかを、メモに箇条書きし脳内シミュレーションしつつ、移動していた。
田舎育ちで長距離移動には慣れたものだが、
実家までドアトゥドアで約5時間の移動が、
これ程までに遠く、長く、感じたのは初めてだった。
地元の空港に着き、そのまま母の車で病院に向かった。
母は思ったより明るく、笑顔すらあった。
強張った様子の私を励ますかの様に気丈に振る舞う母は強いな、と感じた。
車の中で、メールや電話で話せなかった入院までの経緯や状態など詳しい話を聞きいた。
途中でドラッグストアに寄り、オムツや飲み物を購入し再び病院へ向かう。
大部屋で隣のおじいさんが大声で電話していてうるさく、個室に移動になったと聞いた。
私は病院には慣れているはずなのに、やけに緊張する。
個室の扉を開けるのが怖くて怖くて仕方がなかった。
父の現状を見るのが、怖かったのだ。
②へつづく