無我夢中 | 小さいの私!

無我夢中

女の子は夢を見た。
いつか母が話した
あの頃の夢を。


大好きな
おじいちゃんが死んだ。

おじいちゃんを
囲む人は皆
涙をながしていた。


女の子は
涙を流すこともできなかった。

その側で母も涙を流していた。

女の子は
自分は冷たい人間だと思った。

『人の死は意味が
あるものでなければならないの。

独りで死ぬことは、
不幸なことなのだよ。

でも、おじいちゃんは、
今幸せかもしれないね。

だって、
みんなが
おじいちゃんのために
涙を流してくれているんだもの。』



女の子は胸が痛かった。

涙を流していない
女の子は
大好きなおじいちゃんの
幸せを邪魔していると思った。

切なかった。


悲しいのに。
大好きだったのに。

涙が流せない
自分に苛立った。


母は優しい顔で
側にいてくれた。

ただ、
側にいてくれた。