私は筆マメというほど
ではないけれど、普段から
手紙を書くほうだと思う。

だけど、一郎さんは本当に
筆マメ!こちらは、一郎さん
からいただいたハガキで、
計45通ある。


三日前バイト先に、私の

母より少し歳上かな?と

感じる女性が見えて、私

の名前を尋ねるので応え

ると、彼女は一郎さんの

奥様だと言う。


一郎さんは、10月1日に

亡くなられたとのこと。


言葉が出なかった。


考えれば去年の夏ごろから、

一郎さんとの手紙のやりとり

が途絶えていた。私のバイト

先にも姿を見せなくなって

いたので、一郎さんは何か

忙しいのだろうと、私は

勝手に思っていた。


奥様は、一郎さんが私から

の手紙を楽しみにしていた

こと、去年の金沢からの

ハガキの返事も書きたかっ

たのに、体調が悪くて叶わ

なかったことなどを話して

くださった。


返事がなくても、もっと

書けばよかった。

ごめんなさい。

と奥様に、私はやっとそれ

だけ言った。


彼女は大きく「いいえ」と

言い、今度は私とお願い!

と、ニッコリされたのだ。


もちろん!


奥様は、幸子さんと

おっしゃる。