◆2019年冬季アニメ感想

 

「ブギーポップは笑わない」「上野さんは不器用」
なかなか良い出来ばえの作品でした。
ブギーは途中ごっそり見落として、後からニコ動で補完しました。
10~13話はTV放送いつやったんだぁー!?
それから上野さん超可愛い。
「転スラ」は中途半端に終わったなぁと思いましたが、
二期決定とのことで納得。続きが楽しみです。


そして『ケムリクサ』良かったです!

第1話の段階では、

「荒廃した世界を行く赤い姉妹と、正体不明の少年。
これまでの過程も状況もよくわからず、今のところ謎だらけで、
彼等の行く先で何が起こるのかも予測できない。
今のところ不安ばかりが蓄積してゆくような展開です。
ハッピーエンドは期待したらダメなのかな……?」

という漠然とした感想でしたが、
続けて見ていくうちにどんどん物語に引き込まれ、
いつの間にか登場人物たちが好きになって、
彼等が不幸になったらイヤだなぁと思うようになっている自分がいました。

この物語は、ラヴェルの楽曲「ボレロ」のよう。
「長い長いクレッシェンド、
そして変わることなく刻まれるのはボレロの血を引くリズム。
変わらないといえば、主題も調性も、変化しないことは頑固そのもの。
そのくせ聴く者を捕えて離さない。
その秘密は楽器の使い方の鮮やかさにあるのかもしれません。
始めは少なく、控え目に、やがて色合いを変え、数を増し、
気がつくと洪水のように全てを押し流してゆく見事さ!
(ボレロCD解説文より抜粋)」
ボレロという作品は静かに淡々と始まって、だんだん音が大きくなり、
盛大にフィナーレを迎える曲なのですが、
私が見た「ケムリクサ」とは、まさにそんな感じの作品でした。

最終話を見たあと、興奮したまま全話一挙に見ちゃいました。
録画したものをとっておいて正解。

たつき監督は廃墟お好きなんですね。ルインズな描写がとても魅力的。

というわけで以下、ケムリクサの感想を
話数を追いつつ、つらつらと書いていきます。
内容のネタバレあります! 
まだ見ていない方は気をつけて下さいまし!

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第1話
わけがわからないことだらけの第1話。
初回からラブコメの気配にニヤニヤときめく。
序盤でいきなり人死にが出るものの、
初見視聴者としては特にまだ感情移入もできていないので
とりたてて泣けるシーンでもないわけですが、
二度目に見ると、死のシーンの重さがわかるのでぐっとくる。

戦勇のフォイフォイのようにキャラのしゃべり方にクセがあって
最初はウザくもありましたが、割とすぐに慣れました。
それどころか、以降、人物の会話、やりとりがすごく楽しくて、
集中して聞き入ってしまうのでした。
わかばとりつりなが次第に仲良くなっていく過程も萌えるのです。
りんの、なんの感情なのかわからないという鈍感ぶりもキュートです。

 

第2話
舞台は軍艦島?
命を繋ぐため、水を探しに出かけるという目的が生まれる。
まさか車両ごと歩き出すとは思わず、その発想にぶったまげる。

第3話
そういえばりなこの死の間際に背中に見えた、葉脈のような痕跡。
黒いのは姉妹たちの『遺骨』みたいなものですよね?
体を張って何かを守ろうとするのが、わかばのパーソナリティーかな。

第4話
ヌシ出現。味方側の適材適所。わかばの叡智。
二回目に見てやっと「あ、こいつがシロだったのか」と気づく。
細かいところまでよく描かれているわー。

第5話
工場廃墟萌え。シロかわいい。死んだはずの姉りく出現。

どういうこと? 次回へのヒキもうまい。

 

第6話
わかば、りくからケムリクサの使用法を教わる。
基本を覚えたあと、どんどん使い方を把握していったのは
ワカバの潜在意識が働いていたのかと思えば納得。
日記の内容から、色々と想像が膨らんでいった回。

第7話
水を見つけて目的達成……かと思いきや、深刻な状態を目の当たりに。
新たな目的に向かってさらに移動を続ける話の流れがスムーズ。
二度目を見て、そうだったのか……!と判ってくるのがゾクゾクする。
白衣は言われなきゃ気づかないレベル。
みんな目ざといなぁ。
ここ以降、わかばの腹巻(笑)がきちんと服の下に描かれているのね。
細かい伏線だ。

第8話
シロ達けなげで可愛い回。
みじかい足でてこてこついてくる姿がプリティすぎぃ。
「ココ? フネノナカ」というミスリードもうまいですね。
Cパート「お前も含めてな」とりんがこそっとデレたあと、
テレビ放映では間を置かず「どん兵衛」のコラボCMに突入。
少し不意をつかれました(笑)。
どん兵衛やたらうまそうな描写。つい買いに走ってしまった……
ただ私はうどん派なので買ったのはきつねですが。
売り上げには充分貢献しているCMだと思います。

第9話
富士登山。タガメ怖い。
長女りょう出現。彼女の顔もしゃべり方も好き。
わかばをちゃんと「頑丈そう」と見定めているのが流石。
末妹りょくも出てきて、物語の謎が色々と語られる回。
この回で、死者がどのように補完されているのかが見えてくる。
ラスボス戦で出てきてくれそうだなーと期待もふくらむ。

第10話
新宿廃墟萌え。
11話でワカバがコピーしていたのは新宿ビル群ですかね。
最後の水を飲み尽くし、りくりながリタイアすることで
「もうあともどりはできない」という悲愴感を強調し、
見るものにそのことを強く印象づける。
話の流れが抜群にうまいですね。

第11話
そして、回想。全ての謎が語られる……
りりがワカバに懐いていたこと、彼への気遣いから
全てを滅ぼしかねない存在を生み出してしまったこと、
赤い姉妹達が生まれた理由などが語られるさまは圧巻。
分割存在となるためにりりが散り、そのまま
6人に分かれるEDへ突入する流れでゾクゾクきた。
地球外生命体ワカバは植物系の人間?
想像の余地が残されているのもこの物語の魅力ですね。
たぶんまた会えるというのは、一度死んでも
(失敗はするかもしれないけど)長い時間をかけて
再生できるという確信が彼にはあった筈。
ふたりの別れのシーンが悲しい。
「待ってて」と言われたのに待てなかったりりがせつない。

第12話
OPの葉にりりの絵が追加されているなんて、言われないと気づかん。
みんな本当に目ざといわ。
串刺しになっても生きてるってのは戦勇のヤヌアさんを思い出す(笑)。
りりが見たワカバの死。冬虫夏草みたいになってるのがえぐい。
体を苗床にする流れは「ダークグリーン」を思いだしますな。
りんがようやくわかばを名前で呼んだ時、
ぎこちない叫びかたになっているのが素晴らしい。
りんの横顔、どんな表情なのか視聴者に見えないよう
髪で隠しているのがうまいよね。
ラスボスとの絶望的なまでの力の差、絶体絶命の危機というときに
死者が助けに来るのは胸熱展開。3人ともカッコイイ。
しぶとい敵をいつまでもしつこく暴れさせず、
最後渾身の一撃でしっかり倒れるのも爽快。
敵が散りゆくなか、取り戻した「好きなもの」に抱きついたりんの
「うるさい、少し待て」のシーン、ニヤニヤ見ちゃった。
どこかに行きかけたわかばをがっつり握って止めるのも素直。
ようやく泣けて、キラキラ笑顔で「好きだ」――
ヒロインのド直球っぷりにもう……ときめき最高潮にィィー!
いやぁ、私的には大変満足なラストでした。
あれだけ死にそうな荒廃世界で、

(過去の人を除いて)誰も死ななかったのも良かったです。

しかしワカバ仕事大失敗して上司に怒られないのか?とか
宇宙船どうなったの?とか
地球に降りたっても、そのあとどうなるの?とか、
語られなかった気になる謎も多々あるけれど、
そのへんは色々想像するのも楽しいじゃん。

TV放送で、途中にCMが入らなかったのが嬉しすぎました~♪
おかげさまでテンポよく最後までじっくり堪能できました。
素敵な物語をありがとう。

はー、好きだ。
しばらくしたらまた見返そう……