テレビドラマ『レ・ミゼラブル 終わりなき旅路』
1月6日放送。


「なんだこのタイトル?」と思って紹介記事を見たら
ビクトル・ユゴー原作『レ・ミゼラブル』を
現代日本に置き換えて描かれたスペシャルドラマとのこと。
あー、昨年やってた『モンテ・クリスト伯』と
同じような感じの企画なのね。

とりあえず録画しておいて、昨日ようやく観ました。

主演であるディーン・フジオカの印象、
私の中では「真海さん」の印象が未だに濃いうえに(笑)、
作中ちらほらとモンテに似た展開もあったし
ちょっと頭の中が混乱しました。


以下、内容のネタバレがありますので
未見の方はご注意下さい。


原作のエピソードをぎゅっと詰め込みうまく圧縮しつつ、
オリジナル展開も多く盛り込まれた駆け足なドラマでしたね。
原作はモンテクリスト伯と同じくらいの文章量があるのだから、
連ドラとしてやったほうがじっくり描けたんじゃないかと。
とはいえ、現代日本で置き換えられそうにない展開等もあって
色々と難しいし、単発で一気に見せたほうが良かったのか……

「レ・ミゼラブル」としては正直アレンジが強すぎるけど、
ドラマとしての見ごたえはあり、面白かったです。

でもラストでなんともスッキリしない気分に。

これはたぶん、
最後に主人公の馬場純が逮捕されたからかなと思います。

原作は主人公を執拗に追いかける追跡者が途中でいなくなり、
監獄に戻されることなく、最後は若い二人に看取られて昇天する
という展開なので、その辺の違いがしっくりこないというか。


勿論、正当防衛の反撃で不幸な殺人事件に発展し、
罪を償わず脱獄してそのまま逃げ伸びていた馬場純が
最終的に逮捕されないと終わらないのは、
「実際に殺してしまった+脱獄した」という
事実があるので仕方ないのですけれど。

しかしまぁ純は死刑にはならないだろうし、
刑期を終えたら梢のところに帰って来られる可能性もあるし
(本人の意志はともかくとして)
生きている分、希望を残した終わり方とも取れるのでしょうか。

とはいえドラマでジャベールにあたる刑事が自決しなかったのは
良かったと思います。自ら死ぬ理由も特になかったけど。
最後に馬場純に対して「あなた」と言っているし(原作に即している)、
許せないながらも彼の心の中で何かが変化したことは喜ばしい。

あのあと刑事が本当に警察署へ連行して行ったのかどうか
具体的に描かれなかったのは、
あとの展開は見ている人の想像にゆだねるという意図もあるかも?

テナルディエにあたる夫婦は、コメディリリーフでしたね。
けっこうえげつないのに、どこかしら憎めない悪役として
面白く際立っていました。
これはミュージカル版のテナルディエ夫妻に準じているのかと思います。
原作は特に笑える悪役ではなく、作中では悪行の報いも受けずに
マリウスからもらった金でアメリカに渡り奴隷商人になる
という強かさがあります。
ドラマではいきなり刑事を撃ち、埋めちゃおう、という展開が
おバカで無茶苦茶だなぁと。

そういえばドラマの作中に「民衆の歌」のフレーズが
あからさまに使われているBGMがありましたね。
ミュージカル版を強く意識していたのでしょうか。

他に気になったこと。

脱獄囚のままでは、
ずっと捕まるのを恐れながら生きなくてはならないし
そもそもいずれバレて逮捕されるだろうし、
施設の院長は純を逃亡者のまま匿わず、出頭を勧めて、
「刑期を終えたらウチに来い」と誘ってあげたほうが
本人にとっても良かったと思うのですが。
でもほっとくと自殺する恐れがあったからとか、
それをする前に大地震が起きてしまった可能性もあるのか。

ドラマオリジナルキャラである拓海君が良い人すぎでしたね。

原作では死んだ他人になりかわるという展開はありません。

バルジャンのアレはあくまでも偽名とか、名前を借りていただけです。

 

拓海として生きている純のもとに現れた拓海の恋人を、
どうやって説得して理解してもらい
更に協力者になってもらえたのか
その辺すごいドラマがありそうなのに、
ごっそり端折られていたのが残念。

ファンティーヌは、どの媒体でどう描かれても薄幸。
しかしあの託児所、預かった幼児を夜間室内に放置するとか
すさまじい虐待施設。
金を貪ることに集中するあまり、
「ここで子供に何かあったら俺等がヤバイ」と考える頭もないのか。
あそこにいた猫達の安否も気がかりです。

そして革命がないから、ABCの友がまるごとカット。
選挙活動を手伝う人々にそれらしいのがいたのかな?

マリウスに当たる若手政治家の病気が唐突すぎ。
連ドラだったらもっと伏線を入れられたのでしょうけれど。
 

 


ドラマ放送日前後、以前私が書いたレミゼあらすじ記事の
アクセス数がすごいことになっていました(笑)。
すげえなテレビの影響。
私の書いたあらすじを読んでも
ドラマの参考にはならなかったかもしれませんが。
あのあらすじ読み返してみると、

最後の一行は私の感想だよなぁと思いました……