以下の感想雑文には、内容のネタバレあります。ご注意を。


謝罪するでも改心するでもなく南条と神楽はクズ野郎のまま、
まったく楽しそうじゃないのに「楽しかった」と呟きながら自決を選び、
復讐相手の周囲に不幸をまき散らして真海退場。

といった、原作とは異なる展開。

とはいえ、うまくアレンジして
大筋では原作に忠実でしたね。

原作は、
フェルナン(南条)→自殺
ヴィルフォール(入間)→発狂
ダングラール(神楽)→餓死寸前まで追い込まれてから許される

という感じに復讐が終わり、主人公とエデが船で
爽やかに去ってゆくという感じだったんですが、
確かに現代日本ではそのまま適用できない話ではありますか。

復讐という名のネガティブな犯罪行為を実行に移した者が
幸せになるような展開は脚本的に許されなかったのかな、と思います。
復讐を正当化・美化するような内容にはできないというか。

すみれへのプロポーズと返事のくだりは、
オペラ座の怪人を思い起こさせる展開でした。
せつねぇ。

自分も傷つきながら復讐を果たした真海。
その正体や彼の復讐譚も白日の下にさらされ、
面白可笑しくワイドショーネタとして大衆の娯楽となり果てる。
彼自身はどうやら愛梨達に救われて燃え盛る別荘から脱出したようだ、
というところで終わっているのが救いどころなのかもしれませんが、
彼の生死に関係なく、あまりスッキリした気分にはならない。
復讐相手は不愉快な性格のまま、まだのうのうと生きているし、
入間の息子も生存(原作では母親によって道連れにされる)していることから、
彼がいずれ暖に復讐するかもしれないという一抹の不安が残るから。

視聴者もすっきりとはしない、
あちこちにチクチクした棘が刺さったままのような結末。
でもそれだけに、リアルだと思います。
現実はなかなかうまくはいかないものですし。

映像の迫力も含めて、
深く印象に残る作品となりました。