シアタークリエにて再演された『貴婦人の訪問』を観てきました。
【キャスト】
アルフレッド 山口祐一郎
クレア 涼風真世
マティアス 今井清隆
マチルデ 瀬奈じゅん
クラウス 石川禅
ゲルハルト 今拓哉
ヨハネス 中山昇
スイスの作家デュレンマットの戯曲『老貴婦人の訪問』。
2014年にウィーンでミュージカル化された作品の日本語版。
過去に映画化もされているらしいですが、メディア化はされていないようで残念。
音楽CDは発売されているもようです。
ネタバレがありますので、内容を知りたくない方は
以下の感想に目を通さないで下さい。
過去に故郷を追われたクレアが大富豪となって戻ってきた。
財政破綻寸前の街が援助を求めると、彼女は寄付の条件に、
かつての恋人アルフレッドの『死』を要求する。
最初のうちはアルフレッドの味方をしていた街の人々も、
金に目がくらみ、次第に彼の死を望むようになってゆく――
実は、街の破綻はクレアが仕掛けた罠だったのだ。
深い憎しみの中で揺れ動くクレアの心。
かつての友人に自死を促されるもアルフレッドは静かに抵抗。
その後、多数決で有罪となり、人々によって理不尽に処刑される。
最後にアルフレッドに絆されてしまっていたクレアは、
彼の亡骸の前で悲痛に「人殺し」と叫ぶ。
サイコサスペンス+ホラーという感じかな。
手に汗握る救いようのない面白いストーリーでした。
どこにも笑える要素がないのに、私はなぜか
前半の中盤くらいまでコメディなのかと思っていました(笑)。
なぜなんだ。どこにそんな印象が……?
現在と過去の人物が登場し、同時に歌い上げる四重唱は
聴きごたえがありましたね。
なんか音楽の流れが八幡茂さんっぽいな~と思っていたら、
やはりしっかり音楽監督なさっていました。
キャストでは、涼風真世さんがカッコイイ!
低い声での歌唱が本当にしびれる~!
腰ほっそい! 綺麗!
スタイルも良く、全ての衣装が似合っていましたね。
舞台の流れとしては、
街の人々が変節してゆくさまが、なかなかのホラー。
衣装がだんだん豪華になってゆくのが楽しい。
アルフレッドがじわじわ追い詰められてゆくのですが、
過去に彼がクレアにした仕打ちを思えば、
どんな弁解も聞き苦しいだけで、
復讐されるのも自業自得と言わざるを得ず、
まったく同情できなかったですね。
偽の証言をした奴も同罪だ。
街の人々も揃ってクズでろくでなしでした。
あの経緯で入手した大金を、罪悪感もなく使えるとしたら、
すでにもうそれはマトモな人間ではないのではないかと。
ホラーだわ。
まぁ最後に主人公が悲劇的に死んじゃうなんて
ミュージカルではよくある話ですし、
彼が生き残ったら、しまらない話になるので、
あれはああいう結末が最良なのでしょう。
後味の悪い話なので、楽しそうなカーテンコールで良かったです。
禅さんとじゅんさんのヒゲダンスとか♪(笑)