通りすがりに『戦勇。』という作品に出会ってから、もうすぐ1年になります。

ゆっくりめな刊行ペースなので「新刊、待ってました♪」という気持ち。わーい!
手元にあっていつでも読めるかたちになってくれるのは、
やっぱり嬉しいのですよ。
私は、まとめて読めるほうが好きなのです。


実は常に連載を追っていて感想も当時書いてしまっているので、
今回は2015/12/4のブログ記事を加筆修正再録しつつの感想となります。

最後に、『がくモン!』最終巻の感想も。


以下、物語の今後の展開や、
web版を含めたネタバレがありますので、未読の方はご注意ください!




◆4巻表紙
1巻とは色味の違う爽やかな青……というかこれは瑠璃色?
カバーをひんむいたところには、今回もネタが隠れていて、
裏表紙の絵は幸せそうな笑顔を浮かべるロスが一見いい雰囲気なのですが、
よーく見ると軽く怖いですよね。竹筒が……
あと服買って温泉行くのは別にいいんだけど、猶予は12時間だよ!
勘違いしたまま24時間ゆっくりしてたら勇者さん死んじゃうよ!


◆本編
シリウス版は、web版にはなかったエピソードが追加されたり、
展開が少しアレンジされたりして、読み応えが増していますね。

ルキとアルバの可愛いやりとりは、読んだ後しばらくニヤニヤが治まらず。
ルキと知り合ってから三人揃って笑えるようなタイミングって、
旅路のどこだったのかなーと思って読み返してみると、
実質二度目の投獄直前くらいしかないですよね。
あのへんで親しくなったのかな。
ルキとロスは、いわば姪と伯父のような関係だし、
短時間で親しくなり、息が合うのもわかるような気がしなくもない。
描かれていない部分を想像するのも楽しみのひとつです。

そして今巻の注目どころはやはり戦勇の再会。

アルバとロスの唐突すぎる再会から、
一連の暴力的な流れまでも「待ってました!」という気分。
やっぱり打たれ強いな勇者さん。

そして感動の再会をあっさりと台無しにするロス。
ああ、戦勇はこうでなくちゃね!と思う瞬間。


サプライズなカラーページも収録されて嬉しい限り。
しかしこういう、ページの途中にカラーが入る単行本って、
印刷が追いつかず品薄になるのでは……?
同じようなカラーがある「さよなら絶望先生」最終巻を発売当日に入手しそびれたら、
再販分が出回るまで時間がかかって大変だったのですけれど、
戦勇は大丈夫なのかしら。


リンゴの山にじわっときました。
第3巻を読んでから再読すると、さらにじわりときます……
しかし魔界で雑草の如く育ったのかと思うと吹いてしまうのです。


アルバさんのアバラは、確かに間接的にはロスが折ってる(笑)。
ここでさらっと名前で呼んだのはネタのためか!
本来のロスの口調はけっこうぞんざいなのに、
アルバにだけは頑なに「勇者さん」呼びで丁寧語を使っているのもツボなんです。
だからこそ、時折でてくる素の口調と名前呼びが映えるのですが、
ボケのためなら基本スタンスをあっさり崩す姿勢も素敵(笑)。


オリジニアから帰ってきたあとの、ロスの表情が実に切ない。
嬉しくも寂しげな顔、といいますか。
私には、アルバのツッコミや真っ直ぐさは相変わらずだなという嬉しさと、
最後にもう一度会えてよかった、といった感情が混ざった表情に見えました。
何故魔王のもとへ一人で行くという発想しかないのかというと、
「オレにそんな権利ないんだよ」って思い詰めているからなのね……

直後、ロスから告げられた別れの言葉に対して、
「待って」と懇願するでもなく
「待てよ」と命令するでもなく、
「助けになるよ」と申し出るのでもなく。
「頼れよ」ってナチュラルに言えるアルバは、間違いなく勇者!
頼れよ――って、この台詞が本当に好きです。
うひょーたまらん♪

こう言えるほどアルバが本当に強くなっていることを、ロスは勿論、
この時点ではまだ読者にもハッキリと明かされていないというのが、
実に良い演出ですね。前半で敢えて見せないことが、
後半のアルバの戦闘シーンで絶大な効果を発揮するわけで。

そして、
「ボクは勇者アルバだぜ?」
と、ここまで心を震わせるほどカッコよく盛り上げておいて、
一気に突き堕とすという展開が大胆不敵。
これをサラッとやれる作者のセンスに脱帽です。

なぜ都合よく通りかかるか警備員!
頼れよってアルバに言われたロスの反応がどうだったか、
うやむやに流れちゃったよ!
無様&滑稽プフーって嘲笑しちゃうのが容赦ない!
ルキまで一緒になってヒドイ!
ああ、もう楽しくて仕方がありませんね♪


ギルティ・ジャスティスの奔放さがツボ。
戦勇で一番好きな女性キャラかもしれません。
しかし「暗い・黒い」のが惚れる基準なら
クレアシオン時代の荒んだロスもポイント高かったのでは。


この巻では鮫島さんとヤヌアのカッコイイ姿が拝めるので、それもお得ですね。
鮫島さんのオシャレな装いもイイ!
48話のルキメデスもスタイリッシュですな!
なんでルキメデスは普段はあんなダサい格好なんだろう……
絶望的なほどのファッションセンスのなさが原因?

ところでweb版やアニメ版を知らない読者には、
ヤヌアの右目が青いということが、
実は伝わっていないんじゃないだろうかと気になっています。
表紙や4コマなどで、サブキャラもカラーで出してあげてほしいな~。


かきおろし「1.5章」は、1巻以降本編で出番のない
フォイフォイの良いところが拝めてこれまたgood。
ただ、ロスがヒドイ奴だという認識は正しいけれど(笑)、
フォイフォイがそれを正確に把握できるほど
ロスと一緒に行動を共にしてはいないよな、とも思ってしまうのでした。
最初にロスにぶっ飛ばされたあと、牢屋で再会したけれどすぐ別れ、
そのあとはバイクに引きずられて死にかけたりして、
接触したのは茫然としているロスを助けた時くらいしかなかったし。
牢屋でアルバを庇いつつ壁に叩きつけたりしていたから、その行為で判断?(笑)
まあ細かいことはいいか。
連載の方では、いよいよ妹のエピソードが盛り上がってきましたね。
こちらの展開も目が離せません。
戦勇+でのトイフェルの過去編も楽しかった。二代目の誤解は解けたのかしら?


絵柄はだいぶ変化しましたね。
荒削りでアグレッシブな印象だったweb版の頃よりも、
絵が柔らかく優しく繊細になったように思えます。
今巻は、ロスの良い表情盛りだくさんで、ご馳走様でしたという気分♪
何を考えているのかよくわからないこともあったロスの心情が、
心の中の台詞や表情でわかりやすくなってきたのも嬉しいです。


あー、早く最終決戦まで読みたいです。
そして流れるように第三部、四部へと突入してほしいものです。
わくわくしながら期待待機。




ひっそりと、こちらも。

◆がくモン!最終巻の感想
シュシュとジュズの物語が途中で終わってしまったのが、とにかく残念。
この可愛らしいほのぼのワールド、もっと長く楽しみたかった。
けん玉ですねるシュシュが最高にかわいい♪
シュシュがやっぱり女だったことに対して、
ヤマメさんは改めてリアクションしなかったのかな。
第14問で庇われた時点で和解したのかな。
それとも補習23はヤマメさんの狡猾な罠だったのかな?
あのエピソードで「がくモン!(完)」って結構怖いんですけど(笑)。
なぜ海遊びの話を最後に持ってこなかったのだね。
あと怪物王と勇者アルバトロスの恋のエピソードをもっと読みたかったよー!
表紙の前面に二人が大きく描かれていたのが嬉しかったです。


これは作者に対する文句ではないのですが、
単行本の売れ行きがよくないから連載打ち切りってパターン、
色々な作品で何度も味わわされてきたけど、いい加減にしてほしいです。
単行本を買っている読者は出版社に軽くみられているのかしら?
雑誌でアンケート結果がよくても単行本が売れず連載ピンチという事例も
あるらしいですし……こんなのもうどうしろというのか。
荒川弘著「鋼の錬金術師」も、連載当初はどうなるか見当もつかず、
どこで打ち切られても対応できるように、
終わらせ方のパターンを複数考えていたという話をどこかで読みました。
シビアな世界だよな……
よほどの大御所でもない限り、自分が描きたいものを好きには描けない世界。

「売れなければ続かない、続編も出ない(アニメもゲームも小説も同様)」

「売れない=面白くない」という作品ばかりではないはずだけどな。

単純に、話題作以外の本が売れなくなっている時代なのかもしれません。
電子書籍はどうだかわからんけど。
私は今後も、電子書籍よりも紙の本を選びますよ。