7/23追記・アニメ版の感想を雑文の最後にぶっこんでおきました。
雑文はネタバレありです。ご注意を。


◆はじめに
物語に出てくるコンビにも色々ありますが、
私は以下のようなA+Bの組み合わせに弱く、読んでいて燃えに萌えます。

Aは天才的・超人系人物。
性格がキツく、Bのことを粗末に扱うが、実は大事に思っていてどこか依存している。

Bは基本的に善良な一般人。
Aの態度にイラッとさせられたりもするが、好意(友情or愛情)と信頼を寄せている。

例としては、シャーロックとジョン、御手洗さんと石岡くん、ムヒョとロージー、
ヴィクトリカと一弥、ちょっと異なるけど忍と暦、貴音と遥……など。

私は基本的にAに惹かれますが、BあってこそのAというのが重要!(笑)

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で、最近(2015年6月末)書店で通りすがりに表紙買いしたマンガ

戦勇。(著者・春原ロビンソン)

にも、私のツボを刺激する良い感じのコンビを発見♪

寡聞にして全く存じ上げない作家さんの作品だったのですが、
中身も知らずに手にした本の中でも大当たり、私の好きな要素が詰まっている、
久しぶりに「大スキだー!」とはしゃげる一品に出会えました。きゃっほー♪

最初、裏表紙を見て4コマ漫画かなと思ったのですが、違いました。

戦いよりツッコミが得意なヘタレ勇者アルバと、
勇者をヒドい目にあわせて楽しんでいるドS戦士ロスの、魔王討伐の旅――
基本的にはそういう話なのですが、
あまり詳しい筋を書くとネタバレになるので省略。

次に何が起こるかまったく予想できない展開、
ほのぼのコメディと思いきや
意外とヘビーなシリアスも含まれていて、ドラマチック。
とにかく油断できない物語なのです。
作者はマンガ表現が秀逸。
回収まで時間がかかるので忘れていたりもしますが、
伏線が回収される時のカタルシスも見事。

デッサン崩れていたり、しょっちゅう左右を間違えていたりと、
絵は大雑把で荒削りな印象を受けますが、
キャラがとても生き生きしていて魅力的に描けていると思います。
全ての登場人物を応援したくなります。
ムカつく敵ですらも最終的にどこか好きになれるなんて……!


◆調査
掲載媒体はwebだということで、色々と調べてみました。

ニコニコ静画にて公開

web配信版(元祖) *第1章~第4章 完結

紙対応リメイク配信版 *第2章連載中(2015年現在)

紙対応版の単行本化 現在5冊まで *以下続刊 ←私が知ったのはココ

その間に、アニメ化、ジャンプSQ誌上連載、
有料化(初期は無料だったらしい)などもあったりして、
時系列がよくわからなくなりましたが、
ざっとこんな流れで2010年から描かれている人気作品らしいです。

現在単行本は第2章の前半までしか出ておらず、続巻発行の秋まで待機。

……って、いやそんなの待てないよ!

ということで、web配信版を全開けして一気に読んできました。
けっこうな額でしたが、まぁ舞台観に行くよりもリーズナブルだし、
良い舞台を観たあとのような充実感が得られたので、
それだけの価値が、私にはありました。

◆本編読了
うわー、面白かったー!
読了後の満足感がもう半端なく。
もう少しの間この世界観に浸っていたいのでループしつつ、
好きなエピソードを眺めたりして楽しんでいます♪

私が読んだ順番は
シリウス単行本版→SQ版→web版。
絵柄の変化が頭の中でごちゃごちゃになっています。
どの時期の絵柄も好きですが!

ニコニコ関連は、コメントが流れるのがユニーク。
読者がどう思ったのかページごとにダイレクトに判るのが楽しいですね。
戦勇。は叫び声が多かったな! わかるよその気持ち!(笑)
普通の漫画にはない面白さがありますね。


戦勇は、どのキャラも生き生きと輝いていて、読んでいて心地良いのです。
素敵な作品に出逢えてよかった!
単行本化も続きそうだし、まだしばらく楽しませていただけそうです♪


アニメの完成度もかなり高い。絵コンテ、演出が秀逸。
とにかくテンポが良いですね。

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◆いわゆるファンアートってやつ
気づけばノリノリでイラストを描いていた。
↓この絵はパラレルワールドのSQ版。




SQ版は本編と違ってほのぼのとしています。
アルバは胸甲装備しているよりこっちの服装のがスキ。
ロスの頭は針尾送信所みたいでカッコイイですね。
ルキは大変描きやすい女の子でした。


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【感想雑文】

ネタバレ注意!!

ここから下は作品全体のネタバレオンパレードの感想が
ダラダラと書かれていますので、ご注意ください。ちょっと長いよ!
物語の最後がどうなるのかまでばっちり書いてあるので、
第1章から4章、番外編まですべて読んでからご覧くださいませ。
これから本編を読むつもりの人は、絶対に見ちゃ駄目ですよ。



◆アルバとロス
支度金は使い込む、名前で呼び合おうと提案されても拒否、
戦いには参加しない、近隣の村を荒らす、
朝食に薬品混入、枕に剃刀を仕込む、足を踏む、殴る蹴る刺す、
無様な姿を見て楽しむ、上から目線で暴言を吐く……
こうして文章に起こしてみると改めて
ロスってアルバにとんでもないことをしていますねー。
よくこんな相棒と一緒に旅を続けられたな。普通逃げますよ。
ボケまくる相棒はツッコミがいはあるけれど、
アルバって器大きすぎですよね。
後にほれぼれするほどカッコイイ成長を遂げるのも頷けます。
雑魚相手に苦戦していた新米へなちょこ勇者が、
経験を積んでラスボスと対峙できるまでになる、
まさにRPGの主人公。英雄成長物語♪

一方で、平穏な生活を望んでいたのに悲劇的運命に翻弄され、
伝説の勇者にならざるを得なかったロスが
重責から解放されて、
失っていたものを取り戻すお話でもあるのですね。
3章ラストで何が泣けたかって、
彼がちゃんと家族と一緒に暮らしていることですよ。
やんちゃな兄とヤンデレなお母さん。
……お父さんがいないのだけが少し切ない。

ロスはアルバになんらかの絆を感じていたようで、
それはどんな絆なのかなと、かなり気になっていました。
いや絆(物理)ってのは置いといて(笑)、もっと真面目に考える!

最初はきっとアルバの無様な姿とツッコミを愉しんでいた
だけだったのではないかと。
しかし意外と打たれ強く、何をされてもくじけない、
明るく前向きで、弱いくせして正義感が強くて、
人のために何かしようという気持ちに溢れている。
しかもツッコミがハイレベルで面白い。
一緒にいると何だか心が安らぐような存在。
クレアシオン時代からの荒んでいたメンタルを
明るく軽く緩和してくれたのは、間違いなくアルバなのでしょう。
明けない夜の闇を彷徨っていたようなシオンにとって、
アルバは夜明けの光、心の拠り所のようにも思えたのではないかと。
やがてそれが絆として感じられるようになったのかも――
だから彼が死んだとき、あんな表情になったのかな……
(友達が二度も目の前で惨殺されれば、無理もないけど)
などと、ごちゃごちゃ色々考えながら読んでいました。
舞台でも漫画でも小説でも、深く考えるのが私のクセなのです。
というか頭の中で何らかの結論が出ないと落ち着かないんですよ。

アルバ側からのロスへの感情の変遷はよくわからないんですが、
酷いことされてばかりじゃ好きにはなれないだろうし、
一緒に旅した3か月の間に
なんらかの良いエピソードもあったのだろうと思っています。
「あなたは勇者なんですよ。
頼るのではなく、頼られる存在にならなくては」
というロスの言葉はかなり効いたようで、
立派に成長したあとは「頼れよ!」って言っていましたね~。
二人のやりとりは見ていて心地良いです、ほんとに。

一番好きなエピソードは、やはりアルバとロスが再会する回。
全くドラマチックではなくけっこう暴力的(笑)なのに、
どうしてあんなに何度も見てしまうんだろうかと。
単行本でも早く再会シーンが見たいわー。

……と、ほとんど二人に注目して読んでいましたが、
他にも劇的なエピソードが山盛りで毎回クライマックス!みたいに
わくわくしながらページを繰っていました。


◆ここに入るのは誰?
Januar(ヤヌアール・1月) eins(アインス・1)
→ヤヌア・アインという感じに、
ドイツ語の月と数字の組み合わせが名前になっている魔族が多い。
ということでチェックしてみました。

1 ヤヌア・アイン(忍者)
2 フェブルアール・ツヴァイ(200歳)
3 不明
4 アプリール(怪物使い)
5 マイン・フェンフ(大臣)
6 ユーニ・ゼクス(四字熟語男)
7 ユーリ・ジーベン(ドラゴン)
8 アウグスト(パシリ)
9 ノイン・ゼプテンバー(傀儡師)
10 ツェーン(宇宙人)
11 エルフ・ノベンバー(未来人)
12 ディツェンバー・ツヴォルフ(サイコロ)

彼らが魔力の高い12人なんでしょうか?
さて、私の確認が正確なら、
3の名前は本編に登場して……いません、よね?
(既出だったり勘違いだったらスミマセン)
3はメルツとかドライみたいな名前になるはずですが、
ここに入るのは誰なんでしょうか。
本名が分かっていない鮫島さんでしょうか。
それとも別のキャラ? 欠番?
そういやトイフェルや
ギルティ・ジャスティスの立ち位置がよくわからないな。
ちょっと3、気になります。


◆友人さん
クレアの可愛さは異常。なんであんなにキュートなんだー♪
可愛くてしかも優しい。卑怯だこんなキャラ!(笑)
まぁ戦勇のメインキャラって可愛くて優しいヤツばかりでしたか。
シオンとクレアの再会シーンはあっさり軽いノリでしたが、
なんとも爽やかで、読んでいて気持ちよかったですね。
2~3章の間で繰り広げられたであろう
彼ら二人旅のエピソードとかも番外編で語って欲しいなぁ。
クレアって精神年齢は死んだときのままですよね。
SQ版の花火職人は、クレアのまましっかり大人になっていて、
こっちもほのぼのしていて可愛かった。

◆アニキ
アニキかっこいいいいー!
全編通して猛烈にカッコイイのは、文句なく鮫島さんですよね!
彼が出てくるたび、ドラマがぐぐっと盛り上がる。
出てきて欲しいときに彗星の如く登場するからシビレます。
二代目の魂をがっしと捕まえたシーンが、もうたまらない~!
やっくんと鮫島さんのコンビも素敵。合体は無敵すぎます。

◆二代目とトイフェル
二代目魔王一家、大変かわいいです。
二代目はルックスが超好み。最初に本を手に取ったきっかけは、
実はこの人に惹かれたからなんですね~。
離れた魂を戻す一連のエピソードにグッときました。
二代目がぷえーとして復活し、ひとしきり騒いだ後、
すがりつく娘達を黙って抱きしめるシーンにじわり。
泣き叫ぶ娘達を前にトイフェルはどんな気持ちだったのかしら。
きっと「何が何でも助けないと」とがんばったんだろうなー、
とほっこり感動してしまいましたよ。

フォイフォイの妹の話は、ぐわっと涙腺崩壊。
思いがけないところから救いの手が現れるのがまたいい!
単行本2巻の表紙になぜトイフェルが出ているのか不思議でしたが、
こりゃ人気が高いキャラなわけだと納得。
それにしても作中一番壮絶な死に方をしたのは、
アプリールなのではないかと思います。
(復活した人は除いて)
おじいさんとハセガワラくんも無残に散っているけど、
彼らは後に強烈なキャラとして転生するしね。

◆4章
4章はちょっと説明不足。ツッコミどころと疑問点多数。
1~3章と照らし合わせてみると、けっこうな矛盾が顔を出しそうな気が……

歴史の修正作用が働いているから過去に干渉し放題というのは良いにしても、
あの場面でロスが復活させるかどうかなんてエルフには判らない訳だし、
歴史上重要な人物であるアルバを死なせちゃったのは痛恨のミスでは。
憧れの人を殺されて何とも思わなかったのかなと疑問に思います。
それ以外にも賞金欲しさにアルバの命を狙ったりとか、
本編でのエルフの行動が色々意味不明で不可解。
まあ、魔族に協力して色々画策するのは、理に適っていますが。
記憶を失ったことにより、
ただ面白いことを求めて状況を引っ掻き回すだけの迷惑な存在になっていた、
とかならまだわかるんですが、
エルフって一応自分の使命は覚えていたようですからね。
更に、アルフが何をしてどのような事態に陥ったのか
詳しく描写されないままなので、不完全燃焼な気分に。
タイムスリップして過去を変えて悲劇を回避するという物語は
すごく好きだし燃えるので、
もっと彼らのエピソードをじっくり丁寧に語って欲しかったですよ。

とはいえ、4章にもオイシイ場面はもりだくさん♪
もはや神の領域に達したアルバと愉快な仲間達、幸せそうで何より。

7/23追記↓
◆アニメ版
第1部アニメ化、全26話を観ましたよ。ええもうDVD買いました(笑)。
これ好き♪ 大変楽しく、見応えのある作品だったと思います。
5分という短い尺で原作にほぼ忠実、つけ加えられた小ネタも含めて、
ノリノリで笑いどころも満載。声優さんの演技も絶妙。
冒頭の粗筋や次回予告が回を追うごとに崩壊したり、遊んでますねー。
腹筋崩壊、バンバン壁ぶっ叩きながら爆笑していました。
ただこの尺だと、シリアスはちょっと苦しいですね。
勇者死亡のシーンも別離のシーンもすごいサクサク進んでしまって、
感動も余韻も何もなく終了!みたいな。
シリアスはやはり、それなりの間が欲しいところです。
物語は第1部が終わってからが本番だと思うんだけど、
続きのアニメ化は現状難しいそうで。ぐぬぬ……
第2部は深刻なシーンも多いし、もしアニメ化されるのであれば、
30分の尺でシリアス下地+ギャグで作って欲しいなぁと思いました。

◆港町の英雄
クレアシオンが封印から解除されて、
現世に顕現したすぐ後にアルバと出会っていたんですね。
初っ端から酷い仕打ちを受けるアルバ(笑)。
ってこれ番外編じゃなく本筋に直結したエピソードでは。
今となってはもう、同人誌(小冊子)を入手する手段もなさそうですし、
単行本のどこかに再録してくれないかなぁと密かに期待しています。


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