ジョン・ケアード演出、シェイクスピアの喜劇「十二夜」を観てきました。
(於日生劇場)
【主なキャスト】
ヴァイオラ/セバスチャン 音月桂
オーシーノ 小西遼生
オリヴィア 中嶋朋子
サー・トービー・ベルチ 壌晴彦
マルヴォーリオ 橋本さとし
フェステ(道化) 成河
マライア 西牟田恵
フェイビアン 青山達三
サー・アンドルー・エイギュチーク 石川禅
アントーニオ 山口馬木也
船長 宮川浩
ローチケ公演情報の動画紹介に「ミュージカル」と書かれていましたが、
この作品は「台詞劇」です
(以前ミュージカルとして上演されたこともあるので、そちらと混同?)
確かに、歌わないのがもったいないくらいに歌唱力の高い方が何人もいるし、
ミュージカルだと勘違いしても仕方ない気もしますね。
以下の感想……というか雑文には内容のネタバレがありますので、
これから鑑賞する人はご注意下さい。
テキストは松岡和子訳「十二夜」。
ちくま文庫版を再読してから観劇したので、
話の筋が非常に追いやすかったというのもありますが、
全体的にすっきり綺麗にまとまっていて、
実に愉しい舞台だったと思います。
作中印象に残ったのは、マルヴォーリオ>>>>>フェステ>>ほかの皆さま
橋本マルヴォーリオが良い味出していて、注目の的!
ヴァイオラとサー・アンドルー、
セバスチャンとサー・トービーそれぞれの殺陣シーンは、
ちょっと漫画的すぎたような気もしましたが、
コミカル&カッコ良く、対照的で面白かったですね。
クライマックスで
ヴァイオラとセバスチャンが同時に出てくるシーンがあるのに、
一人二役でどう演出するのかなー、と思っていたら
…………そういう手がありましたか!
なるほどうまい♪
戯曲を読んでいて違和感があったのは、
道化フェステの通称がずーっと「阿呆(あほ)」だったこと。
この人物の呼び方は本当に「阿呆」でいいのか?と思いながら読んで、
さて舞台ではどういう呼称になっているのかなと思ったら
そのまんまだったので(笑)、謎が解消されず不完全燃焼。
宮廷道化師のことを少し調べてみて、
ニュアンスとしては理解できたような気もしますが。
作中に出てくる台詞「熊いじめ」とは、
鎖で繋いだ熊を猛犬に襲わせて、それを見物するショーのこと。
残虐で悪趣味な娯楽がまかり通っていた時代なのでしょう。
マルヴォーリオへの悪戯は熊いじめのイメージに重なる、
とのことで、あの悪戯がいかに陰湿な行為であったかがうかがえます。
そのへんを深刻に考えると、喜劇とは言い難くなるので、
もう気にしないことにしました。
マルヴォーリオの「復讐してやる!どいつもこいつも」という台詞は、
客席に笑いが起こらなければ怖く感じたと思います。
アントーニオの献身は、友情というよりほとんど同性愛的な感情に
近いと思うのですが、さて、どうなんでしょう。
友情? 愛情? 崇拝? それら全部?
原作レミゼにおける、グランテールのアンジョルラス崇拝と同じ感じだと
思えばいいのかな。
今回の舞台では、最後にセバスチャンの結婚を祝福して
身を引くみたいな仕草があって(戯曲には描かれていないシーン)、
ますます気になるんですがうーむ。
この辺り、役者さんがどのように解釈して演じているのか、
観察・想像するのも楽しい。
至福の空間から完璧に外れ、薄暗い舞台の隅に佇んでいたサー・アンドルーが、
部外者として静かに去っていくシーンも哀愁を誘いますね。
……などと、
観終わった後も、色々深く考えて楽しめる良い作品でした。
(於日生劇場)
【主なキャスト】
ヴァイオラ/セバスチャン 音月桂
オーシーノ 小西遼生
オリヴィア 中嶋朋子
サー・トービー・ベルチ 壌晴彦
マルヴォーリオ 橋本さとし
フェステ(道化) 成河
マライア 西牟田恵
フェイビアン 青山達三
サー・アンドルー・エイギュチーク 石川禅
アントーニオ 山口馬木也
船長 宮川浩
ローチケ公演情報の動画紹介に「ミュージカル」と書かれていましたが、
この作品は「台詞劇」です
(以前ミュージカルとして上演されたこともあるので、そちらと混同?)
確かに、歌わないのがもったいないくらいに歌唱力の高い方が何人もいるし、
ミュージカルだと勘違いしても仕方ない気もしますね。
以下の感想……というか雑文には内容のネタバレがありますので、
これから鑑賞する人はご注意下さい。
テキストは松岡和子訳「十二夜」。
ちくま文庫版を再読してから観劇したので、
話の筋が非常に追いやすかったというのもありますが、
全体的にすっきり綺麗にまとまっていて、
実に愉しい舞台だったと思います。
作中印象に残ったのは、マルヴォーリオ>>>>>フェステ>>ほかの皆さま
橋本マルヴォーリオが良い味出していて、注目の的!
ヴァイオラとサー・アンドルー、
セバスチャンとサー・トービーそれぞれの殺陣シーンは、
ちょっと漫画的すぎたような気もしましたが、
コミカル&カッコ良く、対照的で面白かったですね。
クライマックスで
ヴァイオラとセバスチャンが同時に出てくるシーンがあるのに、
一人二役でどう演出するのかなー、と思っていたら
…………そういう手がありましたか!
なるほどうまい♪
戯曲を読んでいて違和感があったのは、
道化フェステの通称がずーっと「阿呆(あほ)」だったこと。
この人物の呼び方は本当に「阿呆」でいいのか?と思いながら読んで、
さて舞台ではどういう呼称になっているのかなと思ったら
そのまんまだったので(笑)、謎が解消されず不完全燃焼。
宮廷道化師のことを少し調べてみて、
ニュアンスとしては理解できたような気もしますが。
作中に出てくる台詞「熊いじめ」とは、
鎖で繋いだ熊を猛犬に襲わせて、それを見物するショーのこと。
残虐で悪趣味な娯楽がまかり通っていた時代なのでしょう。
マルヴォーリオへの悪戯は熊いじめのイメージに重なる、
とのことで、あの悪戯がいかに陰湿な行為であったかがうかがえます。
そのへんを深刻に考えると、喜劇とは言い難くなるので、
もう気にしないことにしました。
マルヴォーリオの「復讐してやる!どいつもこいつも」という台詞は、
客席に笑いが起こらなければ怖く感じたと思います。
アントーニオの献身は、友情というよりほとんど同性愛的な感情に
近いと思うのですが、さて、どうなんでしょう。
友情? 愛情? 崇拝? それら全部?
原作レミゼにおける、グランテールのアンジョルラス崇拝と同じ感じだと
思えばいいのかな。
今回の舞台では、最後にセバスチャンの結婚を祝福して
身を引くみたいな仕草があって(戯曲には描かれていないシーン)、
ますます気になるんですがうーむ。
この辺り、役者さんがどのように解釈して演じているのか、
観察・想像するのも楽しい。
至福の空間から完璧に外れ、薄暗い舞台の隅に佇んでいたサー・アンドルーが、
部外者として静かに去っていくシーンも哀愁を誘いますね。
……などと、
観終わった後も、色々深く考えて楽しめる良い作品でした。