今日は大峠を越えて米沢市にまで出かけ、そこのブックオフでジャック・アタリの『21世紀の歴史』(林昌宏訳)を購入したので、スターバックで一気に読んでしまった。アタリを論じるときには遊牧民を指す「ノマド」ばかりが話題になるが、その本では日本の核武装についても触れている。

 今の日本では自民党の「裏カネ」で大騒ぎになっているが、世界はそんなことには注目していない。日本がいつの時点で核武装に踏み切るかを、固唾を呑んで見守っているのだ。知らないのは平和ボケした日本国民だけである。

 アタリは21世紀の日本に関して「世界でも有数の経済力を維持し続けるが、人口の高齢化に歯止めがかからず、国の相対的価値は低下し続ける」と指摘し、「北朝鮮の軍事問題、韓国製品の台頭、中国の直接投資の拡大など」への対抗措置として「日本はさらに自衛的・保護主義的路線をとり、核兵器を含めた軍備を増強させながら、必ず軍事的な解決手段に頼るようになる」と予言した。しかも、日本の核武装は4カ月もあれば可能である、とまで言い切った。

 日本についてアタリの見方は、現代の「ノマド」であるクリエーターを養成せず、海外からそうした人材を受け入れてこなかったことを批判しているが、それ以上に日本の安全保障上の選択肢が限られていることを問題視した。

 この本は2006年に出版され、その2年後に日本で翻訳発売され、大変なベストセラーになった。それから18年の歳月が経過しようとしているにもかかわらず、日本は決断できないままに現在に至っており、その危機的状況から目を背けているのが、私たち日本国民なのである。