「アキュムレーター1」 | こだわりの館blog版

「アキュムレーター1」

ハピネット・ピクチャーズ
アキュムレーター1

【真夏の夜のホラー特集・番外編】最後の3本目は「アキュムレーター1」です。
珍しいチェコ制作のSF映画でありますが、
ちょっと泥臭いタッチといい、メルヘンチックともいえる展開といい、
私たちが見慣れているアメリカ産SF映画とは大違い!
SF映画のような、社会派作品のような…
一概に今回の【SF映画特集】に入れるのもどうかなと思ってしまう
実に不思議な作品でありましたなぁ。

真夏の夜のホラー特集・番外編第3弾
1996年劇場公開作品
監督:ヤン・スヴェラーク
出演:ペテル・フォルマン、エディタ・ブリヒタ、ズディニェク・スヴェラーク、他

  ある晩、測地学者のオルドは瀕死状態に陥り、病院に運び込まれた。
  だがわかったのは隣のベッドで眠るミクリクと同じ症状だということだけで、その原因は不明だった。
  その夜、ミクリクを自然学者と名乗るフィサレクが尋ねて来る。
  彼はオルドに謎のエネルギーを与えて一時的に回復させる。
  その後、オルドは謎のエネルギーで回復に向かうが、ミクリクは死んでしまう。
  オルドとフィサレクは、病院に収容された二人の衰弱の原因を調べ始め遂にその原因を突き止める。
  それは、なんと日常何気なく見ているテレビであったのだ…。

ストーリーを読むと一見「リング」のような【ホラー映画】にも見えますが、
ホラーの要素は作品中には全くありません。
私は実際このストーリーを読んだがために【ホラー特集】にラインアップしてしまいました。
…大失敗です。
オルドが“謎のエネルギー”を手に入れ、宿敵であるテレビと対決していく内容は、
「X-メン」のような【SF映画】でありますが、これが単純にSF映画に収まってはくれません。
途中でテレビの世界をメルヘンチックな幻想的なシーンで描いたり
(ミュージカルまで飛び出す始末!)
泥臭いタッチのコメディーシーンが出てきたり、
オルドがミクリクの娘と恋するラブストーリーになったりと、
この作品はSF映画の大枠の中で、その中に様々なジャンルの要素を盛り込んでいるのです。
しかも「テレビが人々のパワーを奪っている」というテーマは立派な社会派作品ですから、
ますますこの作品、どのジャンルの作品なのか、わからなくなってきます。

良く言えば「一つのテーマに収まらない変幻自在な作品」
悪く言えば「どっちつかずの中途半端な作品」
実に不思議な作品であります。

こんな不思議な作品、誰が作ったのだろうと監督の名前を見て驚きました。
ヤン・スヴェラーク
1996年に「コーリャ愛のプラハ」を発表し、アカデミー外国語映画賞をも受賞した監督じゃないですか!
この監督がSF映画を…ちょっと結び付きません。
どうりで「コーリャ愛のプラハ」の主役・ズディニェク・スヴェラークが、
この作品にも出演していたわけですよね。
「コーリャ愛のプラハ」は少年と初老の男との心温まる交流を描いた、実にほのぼのとした作品でしたが、
この「アキュムレーター1」も、そう考えるとヤン・スヴェラークの演出だからこそ、
SF映画にとどまらずに、見ていてどこかほのぼのとさせるメルヘンタッチをも顔を出す、
良くも悪くも様々な要素が入った作品になったといえるでしょう。

こんな不思議な作品を作ってしまうのは、
ヤン・スヴェラークの人柄なのか…。
それともチェコというお国柄なんでしょうか…。

■何たってこの作品の監督ですよ!

  

  ジェネオン エンタテインメント

  コーリャ 愛のプラハ


■過去の記事はこちら
 ●ドリームキャッチャー(【真夏の夜のホラー特集・番外編第1弾】
 ●ダークシティ(【真夏の夜のホラー特集・番外編第2弾】

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