「ダークシティ」 | こだわりの館blog版

「ダークシティ」

東宝
ダークシティ

【真夏の夜のホラー特集・番外編】の2本目は「ダークシティ」を取上げます。
公開当時のポスターなんかではちょっと【ホラー映画】らしい雰囲気が漂っていたため
今回見てみましたら、これも立派な【SF映画】でした。
しかも、一風変わった【SF映画】でしたねぇ。
こういう作品がひっそりとロードショー公開されて、
さほど人々の記憶にも残らずに消えていくのは、何だか残念だなぁ…

真夏の夜のホラー特集・番外編第2弾
1998年劇場公開作品
監督:アレックス・プロヤス
出演:ルーファス・シーウェル、キーファー・サザーランド、ジェニファー・コネリー、ウィリアム・ハート、
    リチャード・オブライエン、他

  暗闇の中、目覚める一人の男(ルーファス・シーウェル)。
  自分が誰なのか思い出せないまま、
  その男は「早く逃げろ」というの電話に追い立てられるように漆黒の街をさまよい続ける。
  次々と出会う人物は謎めき、妻と名乗る美しい女(ジェニファー・コネリー)の記憶すらない。
  いったいこの街で何がおきているのか? 
  そして黒づくめの奇怪な集団はどんな目的で男に迫るのか?
  やがて男の目の前で街が奇怪に変形を開始した。
  そして男の前に立ちはだかる怪しげな博士風の男(キーファー・サザーランド)や
  刑事(ウィリアム・ハート)。
  …失われた記憶を取り戻した時、謎はすべて解けるのだろうか?

監督がアレックス・プロヤス
1994年には「クロウ/飛翔伝説」を発表し、昨年も「アイ,ロボット」を発表と、
一風変わったSF映画を次々と発表している異才であります。
その異才さは本作でも存分に発揮されています。

とにかく全編がミステリアス
一目で普通ではないと思わされる薄暗い近未来の世界で、
一人の男が訳も分からず目覚め、そしてさ迷い歩く。
劇中での説明は一切無し。
見る側もこの男と同様に、「この世界は何?」「この男は誰?」と
大きな疑問を持ちながら見続けていく事となります。
そして突然、場面はスキンヘッドの異様な形相の集団が出てきて、
何やら怪しげな儀式のようなものを始めるに到って
ますますミステリアスさを増していきます。
作品全体に漂うこの怪しげな雰囲気が、何とも独特で見る者を引きつけます。

そしてお膳立てを全て整えたうえで、徐々に謎は解かれていくのですが、
その“謎”が実は、思っていたものより結構壮大な世界だったので驚かされました。
ネタバレになるから詳しくは書けませんけど…。
しかもその世界をハッタリではなく、しっかりとSFXを駆使して描いてますから
その後の展開に矛盾が無く、説得力があるんですね。
もうちょっと深く“この世界”を知りたいな、とも思いましたが、
それは制作費から考えても、ここまでが限度だったのでしょう。
見る側はわがままなモンです。

それにこの作品、作品規模の割には俳優が結構豪華でしたね。
主役のルーファス・シーウェルは、ちょっと“華”がないのは残念なところでしたが、
彼を取り巻く脇役が豪華
見るからに怪しげな博士役にキーファー・サザーランド
事件を解決しようとしているのですが、自分が最もミステリアスなんじゃないの
と思わされる刑事役にウィリアム・ハート
そして男の妻でありながら、実際はどうなのか全くわからない女にジェニファー・コネリー
と、ちょっとSF映画には出演しなさそうな顔ぶれが並んでます。
ジェニファー・コネリーはまだ「ビューティフル・マインド」で注目される前の作品ですから
ちょっとスランプ気味の時の作品ながら、怪しげなムード満点で、
その後の人気復活を何となく予感させる好演でありました。

しかしこの作品。
原作を脚色した訳ではない完全なオリジナル脚本の作品というのが、またいいですよね。
ストーリーの骨子といい、作品の雰囲気といい、なかなかの出来栄えです。
アメリカ映画もまだまだオリジナルの力を発揮できるのになぁ、と思いつつ
何故にジャパニーズ・ホラーのリメイクなど、近年は【他人のアイデア借用】ばかり行うのか、
本当に疑問に思いますね…。

■過去の記事はこちら
 ●ドリームキャッチャー(【真夏の夜のホラー特集・番外編第1弾】

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