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トンキム定食。

我が家では豚キムチを『トンキム』と呼びます。

少し辛めのキムチと豚の小間切れを一緒に炒めた料理です。

ボクの得意料理。

使う油はごま油、まず豚肉を炒めて火が完全に入る前にキムチを投入。

その際にほんだしを水に溶いて回しかけると豚キムチかはトンキムに進化します。

これはその昔、東銀座にあった居酒屋『無法松』のメニューを再現したもの。

そこはボクが大学生の頃アルバイトしていた店。

今はもうありません。

美味しいトンキムの作り方以外にも、そこで色々なことを学びました。

時給1050円。

労働の割りに安かったと思います。

でも。

今自分がこうして幸せな大人でいられるのは、間違いなく居酒屋無法松のおかげ。

お金よりも大切なものをたくさんいただきました。

60席ある客席はいつも近隣で働く40代のサラリーマンで溢れてました。

タバコの煙でモクモクした店内はいつも、そんな働き盛りのおじさんたちの大きな笑い声が響いていました。

なぜあの人たちはここに酒を飲みに来るのか?

それは現実を忘れるために。

ある常連さんが心臓の手術を受け、久しぶりに店に顔を出してくれた時。

ボクは普通に

『もう大丈夫なんですか?良かったですね!』

と、注文された生ビールを持ちながら明るく声をかけました。

うん、と頷いた刹那、いきなりおしぼりで目を抑え、しゃくり上げるように泣き出す常連さん。

え?

と、なってたら店長に呼ばれ、バックヤードでフルスイングで殴られました。

お前は何も分かってない。

あの人はここに現実を忘れに来てんだぞ。

なんで引きずり戻すようなこと言うんだ。

この店長から言われた言葉、その瞬間の目から鱗がハラハラと落ちた感覚が今だに忘れられません。

正直、なんて声をかけたら良かったのか、いまだにわかりません。

でも、この瞬間からボクの人との接し方、人と会話する際の言葉の選択の仕方は大きく変わりました。

今自分がその常連さんと同じくらいの歳になってあらためて思います。

たくさんの経験や知識を持った大人は個人差はあるにしても常に現実と戦っているもの。

戦って、戦って、戦って。

居酒屋無法松はそんな戦うおじさんたちのオアシスでした。

戦ってボロボロに傷付いて、やっとのことでオアシスにたどり着いた戦士に向かって戦いを思い出させるようなことを言う。

殴られて当然のバカヤローだね。

自分のたくさんあるバカヤローな面、でもバカヤローで良いから前に進むことがいかに大切かを教えてくれた居酒屋無法松。

毎晩毎晩飲み行っちゃうのは、居酒屋無法松とあの時の常連さん達を無意識に探してるのかもしれないな。

なんつってな。

















サンキュー。。。