ぶんぶん丸の近況を説明しなければならなかった。
どう答えればよいのか、頭が痛い。
自閉症とは、見えているからといって、我々と同じものを見ているとは限らず、
聞こえているからといって、我々と同じ音を聞いているとは限らず、
話せるからといって、会話ができるとは限らず、
歩けるからといって、一緒に行動できるとは限らず、
sei-seiは、そんな障害だと思っている。
「お金の管理はできますか?」
そんな質問にはどう答えればよいのだろう?
ぶんぶん丸、小遣い帳をつけている。
コンビニエンス・ストアで弁当を買うこともできる。
衣類や必要なものは自分で購入する。
しかし……。
去年、財布の中身の盗難にあったとき、彼がパニックを起こすほど「困った」のは、「小遣い帳の収支が合わなくなったこと」だった。
誰がいつ盗ったのか、そういったことには全く興味を示さなかった。
「小遣い帳には、不明金と書いておけばいい」
sei-seiのその一言で、ほぼ問題が解決してしまったのだ。
ただ、お金が無くなるのは少し困るようで、その日以来、職場に財布を持っていかなくなった。小銭入れだけ持参することにしてしまった。
それでおしまい。
この解決法で、「お金の管理をしている」と云えるのか?
見えないものが分からないから、もちろん隠されているものにも気づかない。盗まれても、無くなったということはわかっても、「誰かが持っていった」という発想をすることができないのだから、無くなったことを嘆くだけで、犯人を捜すこともできない。
ぶんぶん丸の行動のすべてが、そんな感じ。
「日常生活に支援は必要ですか?」
そんな質問は止めて欲しい。
ぜんぜん必要じゃないけど、すべてにおいて必要なんだよ!!