ドガッ、ドッ、ドッ、ドゴッ、ゴッゴッゴッゴッゴッ。
朝、2階で洗濯物を干していると、階段室から大きな音が響いてきた。明らかに、階下まで何かが落ちていった音だ。
「美猫っ! 大丈夫っ??」
布団で寝ている父親NGを跨ぎ越し、階段室に駆けつける。
「大丈夫」
「下まで行っちゃったんでしょ?」
「わたしは踊り場の壁に激突して止まった。下まで落ちてったのは、スマホ」
「スマホ見ながら階段を下りるから、こういうことになるのよぉ~」
「スマホは持ってただけで見てないよ」
そこへNGがやってきた。
「スマホ見ながら、階段下りるなよ、危ないだろ」
「だから! 見てないって! 夫婦揃って同じこと云わないでよ」
「スマホを見ていたから落ちたのと、ただ落ちたのと、体裁としてはどっちがマシ?」
「そりゃぁ、ただ落ちたほうでしょ? 階段は誰でも落ちるでしょ? 落ちないひといる? 階段は落ちるためにあるとも云える」
そこにぶんぶん丸が通りかかった。姉の顔を眺め、無言で通り過ぎていった。
美猫姫、一日中「ケツが痛い」とうるさい。