「明日、どこかに行きたいです」

土曜日の夜に、ぶんぶん丸が云った。

 

「どんなところがいいの?」

訊き返す。

「名古屋港水族館に行きたいです」

行きたいのは「どこか」ではなく、「名古屋港水族館」だったらしい。

しかし、このコロナ禍だ。水族館は、やっているのか?

 

ホームページで確認してみると、予約制になっているようだった。前日予約も可能だが、午前の部はすべて、定員いっぱいで締め切りになっていた。

 

「ぶんぶん、急には無理だねぇ」

 

というわけで、sei-seiセレクト。

久々に、高速道路に乗った。4人でドライブに出かけるのは、11月の金沢旅行以来だ。8ヶ月以上、空いている。これほど長く引きこもっていたのは、sei-sei人生初かもしれない。

 

よく腐らなかったものだ。

 

向かったのは、「海」つながりで、蒲郡。ずっと渡ってみたかった「橋」を渡ることにしたのである。

 

「竹島園地」の駐車場に車を止め、子どものときからときおり眺めてはいたが、ついぞわたる機会に恵まれなかった「橋(387mらしい)」を歩いて、「竹島」に渡る。

竹島は島全体が昭和5年に国の天然記念物に指定されている。本土から歩いて渡れる距離にある小島であるにもかかわらず、その植物相が、本土とは全く異なっているらしい。林学科卒の夫NG好みの場所である。

 

そして、島には、5つの神社。その筆頭が『八百富神社』。神社好きの美猫姫のための選択でもあり……。

 

「八百屋みたいな名前だねぇ~。仕出し屋でもいいけど」

そんなことを云いながら、島内を参拝しながら散策。美猫姫とぶんぶん丸は、岩場に降り、磯遊びも堪能したようだ。

 

「それにしても、暑いんだけど。雨が降らないと、夏なんだねぇ~」

日傘を忘れたが、岩場を歩くには、日傘は邪魔。持っていても杖と化し、壊してしまうだけだったかも。

 

ランチは、駐車場に車を止めたまま、歩いて『手打ちうどん やをよし』。人気店だったらしく、駐車場待ちの車もあった。おいてきて大正解。創業明治36年の老舗、入り口からは思いもよらぬ奥深さで、中庭に並ぶように配置された別棟に趣があった。

 

うどんも旨い。

 

その後、すぐ近くにある『竹島水族館』の方にまわってみたが、予想通り入り口にひとの列。

「入場制限もしているみたいだねぇ~」

 

「『三密』だから、辞めます」とぶんぶん丸が云うので、そのまま歩いて『海辺の文学記念館』まで。菊池寛や志賀直哉、川端康成、三島由紀夫などと縁の深い『常盤館』が一部保存されているのだ。

 

「ちょっと冷たいものを飲んでまったりしたいねぇ~」ということで、次に向かったのは『蒲郡クラシックホテル(旧蒲郡ホテル)』だ。このホテルは、昭和天皇が定宿にしていたことで有名である。

 

2階のラウンジで、竹島を眺めながらティー・タイム。

 

「ぶんぶん、2分で飲みきったりしないでよぉ~。30分はかけてよねぇ~」

「そんなの無理ですぅ」

などと云いつつも、美猫姫と、ラウンジにおいてあったオセロをしたり、パズルをしたりしながら、まったりのんびり1時間。

 

最後に『生命の海科学館』に立ち寄るつもりだったのだが……。

「もう帰りたくなっちゃったなぁ~。なんだか疲れちゃった。どうしてだろう?」

「日に当たったからじゃない? 太陽光に負けたんでしょう」

 

長らくのもやし生活のつけ。世間は騒がしく、またもやもやし生活に逆戻りなんだろうか? くわばら、くわばら。

 

 

 

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