この夏、美猫姫は、毎日学校へ行っている。
部活があるのだ。文科系の部活だが、長期休暇前半は、毎日活動があるようである。
今は、Tシャツのデザインを考えているそうだ。近々、スクリーン印刷で仕上げるらしい。
sei-seiの職場も忙しい。
夏休み中は、ボランティアさんの数が減るし、小さなお子さんをお持ちのパートさんも休みがちになる。
sei-sei、「出」がつづいている。
しかし、美猫姫が頼れない。ぶんぶん丸は放課後デイに行っている日もあるし、家で留守番している日もある状況で……。
さすがに、ぶんぶん丸ひとりで昼食の用意をするのは難しく、sei-sei、いったん帰宅し、家でぶんぶん丸と昼食をとり、午后からまた出勤する、そんな日も。
職場は自転車で5分、こんなとき近い職場は便利である。
だから、ぶんぶん丸がひとりで過ごす時間は、4時間くらいなのだが……。
「ぶんぶん、ひとりでのお留守番は慣れた?」
「慣れました」
「もし、何か困ったことが起きたら、お母さんのお仕事のところにお電話できる?」
sei-seiの携帯電話はロッカーの中なので、勤務中出ることができないのだ。かけるのなら、作業所の調理場にかけてもらうことになる。
「番号がわかりません」
「教えたら、できるの?」
「できます」
びっくりな返事が返ってきた。療育グループで、固定電話に電話をかける練習をした。それで自信がついたようだ。
「ひとりでのお留守番は、寂しい? それとも、楽しい?」
ついでに訊いてみた。
すると、ぶんぶん丸、にっこり笑って……。
「楽しいです!」
母は、その答えが寂しい。