75.技術者の良心 ライラック号 | 「クラシックで行こう!」

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クラシック・バイク、それもホコリを被って払っても払い切れない
クラシック・バイクを取り上げます。

 まずこの写真を見て下さい。


その名はライラック C81 ( 1961年式 125ccVツイン シャフト・ドライブ )

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端整なスタイルにモト・グチィの様な縦置きVツイン・エンジンを積んだ

ユニークなバイクです。 


ライラック号丸正自動車製造㈱という会社が作ったバイクです。


ライラック号は当時の日本のバイクには無い画期的な駆動システム

持っていました。


 ライラック号 ML (1950年式 単気筒148cc サイドバルブ)

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スタイリングは当時のHONDAドリームに良くにていますが、

ライラックMLには他社にない大きな特徴がありました。


それは後輪の駆動にチェーンを用いず、シャフト・ドライブ

使っていた事です。


当時のチェーン外れやすく寿命も短いものでした。


この点を嫌ってライラック号は当時の日本では製造の

難しかった傘歯車(ベベル・ギア)を製造し、シャフト・ドライブ

実現したのです。


それはユーザーのためを考えた技術者の良心と言えるもので、

価格は他社に比べて高目でしたがそれでも人気がありました。


そしてライラック号はレースの場面でも光っていました。


 ライラックSY (1955年式 250cc)

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SY型実用車でしたが、そのチューンアップ版であるSYZは、

1955年の浅間火山レースのライト級で本命のホンダやヤマハを

押さえて優勝しました。


資料を調べて行く内、最初に紹介したC81はもともと実用車だと言う事が

判りました。
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しかしツーリング・タイプもあった様で、ガソリンタンク以外
最初の写真のC81は見事にレストアされていると言えます。
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このタイプにはまるでイタリアのモト・パリラの様なデザインの

写真がありますが、これはカスタムと考えるのが順当でしょう。
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ライラック号少排気量のVツインが主体でしたが、後期には比較的

大排気量のフラット・ツインを製造しています。(500cc)


 ライラック R92 (1964年式 マルショーST フラット・ツイン500cc)

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 ライラック R92 エレクトラ・マグナム (1967年式 フラット・ツイン500cc)

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このR92と言うモデルはBMWに範を取った様に見えますが、実際には

当時のBMWより高性能でした。


その完成度は非常に高かったと言えます。


しかし、そうした良質な製品を生み出していた時期、丸正自動車瀕死

状態にありました。


それでもこれだけの内容を持ったバイクを生み出したのは技術者としての

良心と言えるのではないでしょうか・


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