食べる為、噛むためには筋肉が動くことが必要だということは、もうわかったと思います。
何らかの障害で筋肉の動きが悪くなってしまった方もたくさんいらっしゃいます。
今日いらした患者さんは、15年前に聴覚の腫瘍の手術の時に、左の顔面神経を損傷してしまった方でした。
顔面神経麻痺は、表情筋と言われる筋肉の麻痺です。
口角を上げることも、口をとがらすこともできなくなっていました。
入れ歯が合わなくて、痛くて食べれなかったそうです。
食欲はあるのに、食べれない。そんな、悩みをずーと抱えていらっしゃたようです。
そして、顔面神経麻痺の為、噛む時にお顔が曲がってしまうことを、とても気にしていらしゃいました。
本当に、勇気を出して、いらっしゃったようです。
入っていた下の入れ歯は、小さく顎の上に乗っているだけの入れ歯でした。
そして、噛みあわせが低いために、噛むとお顔が、曲ってしまいます。
ご本人も、顔が、右にずれるような気がするとおっしゃっていました。
もちろん、よく噛めるのは、麻痺がない右側です。
筋肉が、右側に引かれてしまいます。
とりあえず、修理をすることにしました。
まず、入れ歯の形を、少し大きくして、顎にあわせます。
ずいぶん噛みあわせが、低かったので、噛み合わせを高くしました。
修理していくほどに、「顎が戻ってきたような気がするわ。」と、不思議な様子でした。
今まで、右にずれて噛んでいましたから、逆にどこでも噛めるように噛み合わせを調整しました。
お顔の、曲りも少し良くなりました。
鏡を見て、「先生、きれいにしていただいて、ありがとうございます。」と喜んでいただきました。
奥歯でぎゅっつと噛んでも痛くなかったようで、「家に早く帰って、なんか食べてみたい。」と言うことばも、出てきました。
「じゃあ、なんか食べてみましょうか?」と、おせんべいをお持ちしました。
「噛める!痛くない!右でも、左でも噛めるわ。(^∇^)」
おせんべいは、パリンと割れるので、わりと、噛めるのです。
お食事は、少し使ってみて下さいとお願いしました。
新しく入れ歯も作ることにしましたが、少し調節しながら、噛めるところを、この修理した入れ歯で探っていきたいと思います。
筋肉のバランスが、悪いので、どのように動いていくのか、様子を見なければなりません。
帰り際、
「本当に、来てよかった。」と、少し、涙ぐんでいらっしゃいました。
困っていても、どうすればいいのか、悩んでいらしたのだと思います。
食べられない訳ではなかったのです。なんとか食べていらしたのだと思うのです。
食べられること、大切です。でも、改めて、噛めることも大切だということを、、感じました。
頑張ります。(o^-')b











