A子さんは、当医院に、「部分入れ歯が、噛むと痛いし、気持もわるいし、残っている前歯も少し動くような気がする。」
と言って来院されました。
お口の中を見ると、上の奥歯が、両方とも無く、部分入れ歯は、使用していない状況でした。
それでも、なんとか、残っている歯で、噛んでいたのです。
残っている歯、つまり奥歯は無いので、前歯だけで無理やり噛んでいましたから、前歯に負担がかかりすぎて、歯がすこしぐらついて動いてしまっています。
ここで一つの問題が発生します。
通常、上の前歯の裏側に、下の前歯の先端が斜めにぶつかるようになっていて、おうどんやお蕎麦を噛みきったりすることができるのですが、
この斜めの傾斜が、奥歯がないことで、下の歯を、どんどん奥へ入り込ませてしまうのです。
下顎の位置が、奥に入ってしまっています。
噛みあわせが、低いので、口を閉じたときの口の周りのシワも多くなっています。
このままの上下の顎の位置で、入れ歯を作っても、噛みあわせが低いままですから、
お口の中は、狭くなってしまっています。
違和感があったり、気持ち悪かったりするのは、そのせいなんですね。
そこで、調和のとれる顎の高さと位置を決めていかなければなりません。
下の写真↓は、前歯を仮歯にして、入れ歯のかみあわせを高くしたところです。
笑ったくちびる端(口角)の位置と、上の前歯の先端のラインが合っているので、素敵な笑顔になりました。
顎の高さが変わると、噛み合わせも変わってきます。
左右どちらか噛みやすい方に、顎の位置がずれている場合もあるのです。
A子さんは、これから、下の歯を直していきます。
真ん中で、しっかり噛めるように、噛み合わせを作ることが、これで、やっとできるんです。
まさに、A子さんと2人3脚で元のかみ合わせを捜すって言う感じでしょうか。
この時間と作業が、私もワクワク、ドキドキですが、患者さんも少しずつ良くなるのを実感して、
ワクワクしていらっしゃる様子が伝わってきますね。
A子さんには、「シワ取りの注射をしようと思っていたけど、大丈夫だわ
」
と言って、素敵な笑顔でよろこんでいただいています。

