2050年には65歳以上の高齢者のほぼ3人に1人が認知症や軽度認知障害(MCI) になると言われる。

認知症とともに歩む時代が到来している。そうした中、認知症になっても使いやすい製品が相次ぎ開発されている。

政府が2024年12月に策定した認知症施策推進基本計画は「新しい認知症観」というキーワードを掲げた。

認知症になったら何もできなくなるのではなく、やりたいことが尊重され、希望を持って自分らしい生活を続けることができる社会を目指す考え方だ。

現実には認知症の人が日常生活や社会の一員として他者と関わる社会生活を営む上での障壁が数多く存在する。

認知機能が低下しても安全で使いやすいように工夫された製品やサービスが増えれば障壁は減っていくはずだ。

リンナイ(名古屋市)が発売したガスコンロ「セイフルプラス」は認知症当事者の意見を取り入れ開発された。

高齢者に使いやすさとあんしんを提供するガスコンロ

右コンロのボタンをオレンジ、左コンロのボタンを緑色にして、天板にもそれぞれ同じ色で「右コンロ」「 左コンロ」と表示することで、このボタンを押せばどちらのコンロに火がつくのか、視覚的に分かりやすくしてある。

自動消火機能をつけた一方、操作の混乱を防ぐため通常タイプにある温度調節機能などはあえてなくしてある。

認知症の人が火を使って調理するのは危ないというイメージがあり、使い慣れたコンロから火の出ない調理器に変える人が多い。

しかし、認知症になって新しい機能の操作を覚えるのは要因ではなく、好きだった料理を諦めたり、結果的に症状が進んでしまったりする人が少なくない。

使い慣れた機器で長く安全に料理を楽しんでほしい。

 

 




初期の認知症でよくある症状が、日時や曜日などがわからなくなる「見当識障害」。

これに対応するのが京都市のデザイン会社、ソフトディバイスが発売した日付や予定を表示する日めくりカレンダーアプリ「ヨッティ」

 

認知症のある方の生活を支える日めくりカレンダーアプリ「yottey(ヨッティ)」


このアプリは、認知機能が低下した高齢者や認知症の方に向けて、日付や予定を分かりやすく表示する機能を備えています。

アプリは、スマートフォンやタブレットで利用可能で、ユーザーはキーワード検索を通じて簡単に操作できます。

月額300円(税込)で提供されている。

本人はもちろん、離れて済む家族も入力ができ、体操教室などの予定を文字や音声で知らせる。

利用者からはゴミ出しができるようになった。

頻繁にあった父からの予定確認の電話がなくなったなどの声が上がっている。

 

 


介護者や家族の悩みが多いのが入浴を嫌がること。

牛乳石鹸共進社(大阪市)は服を着たまま髪を洗えるポータブル洗髪デバイスセット「ススグ」を発売。

 

服を着たまま洗髪できる、ポータブル洗髪デバイスセット「ススグ」

ノズルからミスト水を噴射するブラシとシャンプーのセットでブラシ下部に供給して使用する。

風呂に入らなくても清潔を保つにはどうしたらいいかと考え製品化した。

 

 



認知症の人も使いやすい製品が、こうした製品が増えれば認知症の人や家族の生活の質(QOL)が向上する。