11月21日に警視庁は警察や中央省庁などの電話番号を偽装表示させる詐欺電話に、東証プライム上場「アイ・ピー・エス」子会社の通信会社「アイ・ピー・エス・プロ」(東京)が提供するIP電話回線が悪用されていると発表している。

通信会社「アイ・ピー・エス・プロ」のシステム設定に誤りがあり、2~3月に1回線から約197万件の偽装電話がかけられ、すくなくとも約2800万円の詐欺被害があった。

想定外に回線が悪用され、設定の不備や不正な利用をすぐに認知できなかったことを重く受け止め、再発防止に取り組むとしている。

警察庁と総務省は21日、原因究明と再発防止策を講じるように要請している。

アイ・ピー・エス・プロは2月、海外の通信事業者との間で「050」の番号で始まるIP電話1回線の利用契約を結んだ。

この事業者が詐欺グループ側に回線を提供したとみられる。

特殊詐欺電話は警視庁本部や新宿署、総務省などの代表番号を偽装し、被害者が深刻な警察官をかたる詐欺などに悪用された可能性もある。

IP電話はインターネット回線を利用して通話でき、設定により実際とは異なる番号を表示させることもできる。

番号の偽装は「スプーフィッシング」と呼ばれ、通信業界は偽装番号の発信を拒否したり、非通知にしたりするなどの対策指針をまとめている。

アイ・ピー・エス・プロではシステム設定のミスで対策が取られず、偽装電話が制御されなかった。

 

3月に対策を講じ、4月以降は偽装電話を把握していないという。

警視庁によると、今年1~9月の特殊詐欺被害額は約965億円で、昨年1年間の被害額をすでに上回り、過去最高となっている。

携帯番号を発信元とする詐欺の増加のなかでも、警察官を名乗る「ニセ警察詐欺」が特に増えている。

2025年10月の「ニセ警察詐欺」に利用される電話番号の数を調査した結果では、前月9月から約2.7倍に増加した。

「ニセ警察詐欺」は、被害者に「事件に関わっている」「口座が危険」「捜査で協力が必要」などと不安を与え、現金・キャッシュカード・個人情報をだまし取ることを目的としている。

「警察」という肩書きにより信用してしまいやすいことや、不安をあおる話法で冷静さを失わせることで、被害につながりやすい手口だが、携帯電話番号を発信元とする着信がかかってくることで、より信じてしまいやすい状態が作られる。

対策としては、警察が電話で暗証番号を聞いたり、キャッシュカードを回収することは「絶対にない」と理解しておく必要がある。

日々、巧妙化する詐欺に対抗するには、最新動向を知り情報を常に更新していくことが欠かせない。

また、少しでも不審に感じたら立ち止まることが、被害を防ぐための最も有効な手段ということを改めて覚えておこう。

IP電話は、インターネット回線を使用して通話する電話です。

IPはInternet Protocol(インターネットプロトコル)の略で、インターネットの通信方式です。

従来の固定電話の通信方式と異なっていることもあり、メリット・デメリットがあります。

IP電話の最大のメリットは、通話料金の安さです。

専用の電話回線を使用せずにインターネット回線があれば通話できるため、通話料金がとても安くできます。

その反面、通話品質の確保が難しいというデメリットがあります。

インターネット回線では、音飛びや聞き取れないといったことが起こりえます。

ただ近年は、回線スピードの高速化や技術革新によって、固定の電話回線と同等の品質を確保できるようになってきています。

IP電話には、電話番号があるタイプと無いタイプがあり、よく利用されているLINEやSkypeなどは電話番号が無いタイプのIP電話です。

番号のあるIP電話は、固定電話として利用することが多いですが、携帯電話のアプリとして利用することも可能です。

インターネットを使用するため、世界中どこにいてもネット環境さえあれば電話ができます。

光回線を引いている場合には、固定電話としてひかり電話を利用しているかと思われますが、このひかり電話もIP電話のひとつです。