動くということがいかに重大であるか。

私たちが思考と呼ぶものは、進化の過程で動作が内在化したものである。

いかにコンピュータが頭が良くて、チェスで名人を打ち負かしたところで、彼がチェスを動かせるわけではないのだ。

いくつかの例を挙げながら、こうした場合はこうしようという世界の中でコンピュータは思考しますけども、コンピュータは動かせないんですね。

動かないと馬鹿になる。

人間は動かないと馬鹿になるんだと。

高齢者が運動を行うと海馬の容量は著しく大きくなる。

脳は年を取ると変化をしないと言われてたんですけども、脳の海馬は使えば量が増えるところに人間の進化の複雑さがある。

体のために良い運動とは何か。

トレイルランニング、山野を走る。

高地の細い山道、坂の上り下りがきちんとあるところ。

草や石、次々と路面が変化する。

様々なギアでスピードコントロールしながら走ること。

しかも条件として、裸足。

体のために良い運動とは何か。

私たちの足はベアフットで走るために構造化されている。

靴を履かないということが進化の原動力になったように。

自分の体に変化を与えるんだったらば、素足でもう一度戻ることなんだ。

なぜかというと、足裏から入ってくる道の情報によって、脳は生き生きと連絡網を作って、脳自体が豊かになる。

草の上でいいから裸足で走ってごらん。

下から入ってくる情報量は違う。

例えば子石とか、とがった石に敏感に応じる。

それを踏んだと思った瞬間に、踏みしめないように重心を移して強く踏まない努力をする。

無意識にやっている。

靴を履いた瞬間、そういう情報は断絶してしまう。

素足で遊んだ懐かしさは持っている。

人というのも野生の次元で考えると、睡眠というのも意味が変わってくる。

睡眠にもレムからノンレム、浅い深いという大きな波があります。

大体2時間置きに浅い深いを繰り返します。

浅い時に50%の人が夢を見る。

この夢が悪夢を見る傾向にある。

これはかつて獣に食われたという証拠で、寝込みを襲われ食われた記憶がくっきりと残っている証拠です。

恐ろしい夢を見ることで、はっと目が覚める危機訓練なんだ。

睡眠中でも油断をさせないためのメカニズムだそうです。

水の流れる音、火が静かに燃える音、仲間の寝息、動物の安らかな気配があると人は深く眠れる。

猫や犬を飼いたがるのは、実は野生に戻るためのサポータになるんだ。

幼いものを守るために眠る。

赤ちゃんがぐっする眠っていると横で眠っている親もぐっする眠れる。

災害や戦争の後遺症である、PTSD。

心的外傷後ストレス症候群、恐怖を通り過ぎて行ったものを終わったものとして扱えず、来るべきものとして捉えてしまう。

記憶の障害、これはうつの原因となる。

PTSDで不眠になる。

自律神経や視神経などは部位と脳をまっすぐつなぐ。

 

自律神経は原始的な領域につながっている唯一の迷走神経である。

心臓のドキドキしているのが目じりに出る。

自律神経の重大な役割は脅威、恐怖、立ち竦みの反応の調節である。

敵に遭遇すると、心拍と呼吸が速くなる。

消化、生殖、免疫へのエネルギーはすべて戦うか逃げるかのエネルギーに回される。

このとき顔の筋肉が収縮する。

悲鳴や怒りの声を上げるためである。

例えば不快でありながら、それを笑顔で包んで人と対話することを可能にするのは、迷走神経のブレーキの効きがいい人なのである。

顔にすぐ出ちゃう人はブレーキの効きが悪い人なんだ。

腸の神経系も独自で神経伝達物質を装備しており、心と体の幸せ感、意思なども支配している。

日本人の腹をくくるなどという表現は実に現実的で、腸は実は考えている。

腸が感じる不安というのは食欲に出て、大脳の方に不吉だぞという直感を送り込む。

その腸などに情報を知らせるのは、足の裏だったりする。

脳だけで人はコントロールできない。

物事は真逆の神経反応が要求させるものがある。

例えば集中しているのとリラックスしている。

具体的に言えば、ドキドキしているのとボーとしている。

ドキドキしながらボーとしているって不可能ですよね。

これはあるんだって、人間て。

睡眠なんですって。

眠ろうとするとき、眠ろうとする意志を忘れない限り眠れない。

眠んなきゃと思うと、張り切ると眠れない。

眠れることに集中するぞ、というと眠れなくなる。

眠ろうとすることを忘れるくらいじゃないと眠りに入れない。

人間はこういうときに覚醒とリラックスを両立させるんですって。

これが人間の際立った特性なんです。