臭いや脇の下の汗染み、周囲の不快感への不安などで、汗に悩む人が増えている。

 

だが汗は体温調節に欠かせないものでもある。

 

汗は人類が進化の結果、獲得した機能。脳の進化と密接に関係しています。

 

汗には、緊張を感じたときに出る神経性発汗、体温調節のための温熱性発汗、強い香辛料などを食べたときの味覚性発汗の3種類がある。

 

汗のほとんどは全身の体表にあるエクリン汗腺から分泌する。

 

体温調節に重要な役割を果たすエクリン汗腺は、犬や猫にはほとんどない。

 

これほど発達したのは人間だけ。熱に弱い脳を守るためと考えられます。

 

確かに他の哺乳類で、人間のように汗をかく姿は見ない。犬や猫はハアハアと口を開けて熱を逃がす。

 

汗は人間ならでは、というわけだ。

 

だが多くの現代日本人に汗は悩みの種のようだ。

 

全国に10~40代の男女5千人に実施した調査では、約半数が「自分の汗の臭いが気になる」「やや気になる」と感じていた。

 

汗の量についても「他の人より大量に出る」「やや大量に出る」という人が約4割に上がる。

 

多汗の人が増えたということではない。病的に多汗という人は非常に少ない。

 

緊張すると、手のひらや足の裏、脇の下など一部の場所に汗が出る。

 

特に脇の下は熱がこもりやすく、「臭うのでは」「汗染みになって恥ずかしい思いをするのでは」などと不安を抱くと、発汗中枢が刺激されて汗をかくという悪循環に陥る。

 

この不安は無意識です。だから重要なのは、悪循環を断ち切ることという。

 

制汗剤などを使って汗そのものや臭いを抑えて自分を安心させたり、脇汗を吸収する機能を備えた下着を身に着けたりする方法も有効だ。

 

ただし、制汗剤の使い方には要注意。制汗剤は汗腺にふたをする仕組みです。脇の下以外の腕や首などに使うのは勧められません。

 

熱中症の原因になることもあります。