国内の人工透析患者は2015年末時点で約32万5千人に達し、糖尿病から糖尿病性腎症、慢性腎臓病(CKD)に進む場合が約4割を占める。
慢性腎臓病が悪化して透析になるのを防ぐには、腎臓病になる前からの節制と、発病後の服薬や食事制限を守る患者自身の努力が必須だ。
ただ、食事制限の方法は分かりにくい。
慢性腎臓病の食事制限では特に塩分とタンパク質、カリウムの三つが重要です。
腎臓の中には「糸球体」という毛細血管の塊が多数あり、ここを血液がスムーズに流れることで血中の老廃物をろ過し、尿に排出する。
塩分を取り過ぎると血中濃度を薄めるために血液量が増えて血圧が上昇。
腎臓にも負担が掛かり高血圧が続くと糸球体が壊れ始める。
いったん壊れた糸球体は回復しません。
高血糖や高血圧、腎臓病になる恐れが指摘されたら、腎機能が正常なうちから塩分を1日3㌘以上6㌘未満にすることが推奨される。
タンパク質は体をつくる素材としても大切だが、その老廃物をろ過するのはやはり腎臓の役目。
糸球体が壊れ始めると、残った糸球体にはタンパク質の取り過ぎが負担となる。
果物や野菜に多く含まれるカリウムも体に大事な栄養成分だが、腎臓病により排出が滞ると血清中の濃度が上がり、心臓の神経伝達に支障が出て、不整脈などで命に関わることもある。
ただし、カリウム制限には注意が要る。食習慣によって摂取量に大差があり、ただ減らせば良いわけではない。
血液検査の結果に基づいた主治医の判断に従う必要がある。