家計が苦しい小中学生の保護者に、学用品代や給食費、修学旅行費などを自治体が補助する就学援助制度。
全国の小中学生の6人に1人が対象となっているが、制度を知らずに利用できない保護者も多い。
周知が課題となる中、援助が必要な人に確実に情報を届けようと、新たな試みが始まっている。
沖縄県教育委員会が製作したテレビCMで、2~5月に県内の民放各局で放送した。ラジオやコンビニエンスストア内の液晶画面でも、似た内容を流した。
いずれも県教委が今年から取り組んでいる周知事業の一環で、誰にも分かりやすくて、申請を検討したくなる広報を目指したと教育支援課は説明する。
事業のきっかけは、同県が2015年に行った子どもの貧困に関する実態調査だった。
県内の子どもの貧困率は29,9%に上る一方、就学支援の利用は約20%にすぎないことが判明。
主な理由は「制度を知らない」「周知の目が気になり利用をためらう」だった。
こうした傾向は、地域差はあるものの、全国に共通している。
文部科学省にやると、希望する保護者に申請書類を渡すだけだったり、ホームページや広報誌での告知にとどまっていたりと、自治体により周知方法にばらつきがある。
本当に制度を必要とする人ほど、働きずめで制度をアクセスする余裕もない。
パソコンを持っていない情報弱者にどう届けるか。まだやれることは多い。
一部の事務職員の間では、分かりやすいチラシを手づくりしたり、学校内に制度をPRする掲示板を設けたりするなど、工夫を凝らす取り組みも始まっている。
とはいえ個人のレベルの努力では限界もある。
沖縄のように、行政として積極的に伝える仕組みをつくることが必要。
それが制度の対象にならない人に対しても、就学援助に対する理解を促すことになり、子どもの学ぶ権利を保障することにつながる。