座ったときに猫背になる年配者は少なくない。猫背を続けていると、肩、首の凝りや腰痛だけだなく、さまざまな不調の原因になるという。
それらを防ぐには、どのような点に注意すればいいのだろうか。
椅子に座る理想的な姿勢は、頭と首、背骨が垂線上に並び、股関節と膝関節がほぼ直角に曲がり、足の裏が床に着いている状態。
猫背は、胸部が丸まり、頭が体よりも前に位置するので、首の後ろの筋肉や首を支える方の筋肉が緊張し、腰にも負担が掛る。
これが肩凝りや腰痛の原因となる。
肺や内臓も圧迫されるので、肺活量が低下し、胃下垂になり、消化不良になることも。神経が圧迫され、偏頭痛や目まい、かすみ目、耳鳴りの恐れもあるという。
さらに、顔のたるみやしわも姿勢と関係している。人間の体は、頭から足先まで全身を筋膜という線維性組織でできた膜で覆われている。
筋膜が硬くなったり、よじれたりすると、顔の筋肉がうまく動かなくなり、筋膜に張り付いている皮膚もたるんでくる。
猫背によって、普段顎から首にかけての筋膜と皮膚が伸ばされていると、顎を引いたときに、筋膜と皮膚はたるみ、首にしわができる。
椅子に浅く腰掛け、背もたれに寄り掛る「仙骨座り」も、顎を突き出すので、猫背を助長してしまうという。
学校や職場では、同じ姿勢のまま動かずに耐えるのが美徳とされる風潮があるが、同じ姿勢を長時間、保持するのは、体にとっては良いことではない。
猫背のまま長時間、テレビや新聞、スマートフォンなどを見て過ごしていると、肩凝りや腰痛になるのも当然。
疲れ始めたら体を動かし、姿勢を変えて、体をリセットすることが大切。
同じ姿勢を保持するのは45分が限界で、少なくとも30分に1度は、立って体をひねったり、延びをしたりするのが望ましい。
血流が悪くなる50代ごろから、筋肉の伸縮の幅を大きく保つことが大切。
掃除、洗濯はエクササイズのチャンスだと思って、なるべく大きく各関節や筋肉を動かすのが、肩凝りや不調を防ぐのに効果的です。
全身を覆う筋膜が硬くなったり、よじれたりすると、しわやたるみのほか、肩凝りや腰痛などの原因ともなる。
筋膜を元の状態に戻す体操を3種類挙げます。
一つ目は、テーブルの上に両手を置き、上半身を腰から直角に曲げて、上半身と下半身を伸ばす。この動きを30秒以上続け、3回繰り返す。
二つ目は、体の左側面をテーブルに向けて立ち、テーブルの上に左手を置き、右足を左足の前で交差させ、右手を頭上に伸ばす。頭上に上げた右手をテーブル側に倒していき、30秒以上、体の側面を伸ばす。左右それぞれ3回ずつ行う。
三つ目は、テーブルから自分の歩幅くらい離れて正対して立ち、左手をテーブルの上に置き、右足を前に出し膝を軽く曲げ、右手を天井方向に20秒以上伸ばす。このまま状態を右に回し、右手を見ながら、右手を右斜め後方に20秒以上伸ばす。この姿勢から左ひじを曲げテーブルの上に置き、体を右後方に20秒以上ひねる。左右を逆にして、それぞれ3回ずつ繰り返す。
朝起きて、体操を一つでも二つでもすると楽になる。
日中、散歩や買い物に出掛ける前に、体操をすると効果的。
入浴後、体が温まったら、ぐっすり眠れるように、じっくりゆっくり3種類の体操をするといいでしょう。