年齢を重なるにつれ、外見だけでなく、体の中でさまざまな変化が起きてくる。

 

老化現象だからと軽く考えて、適切なケアや治療を怠っていると、命の危険を招いたり、健康的な生活の妨げになったりする。

 

水道管がさび、汚れが詰まりやすくなるように、血管も年月をかけて硬く、狭くなる。

 

これが動脈硬化だ。老化の一つだが、偏った食事や乱れた生活習慣が重なると、一気に加速する。

 

自覚なく進行し、心筋梗塞など重大な病の引き金になる。手遅れになる前に対策が大切です。

 

動脈硬化を悪化させるのが、血中の脂質の一つ「悪玉コレステロール(LDL)」。

 

コレステロールはホルモンや細胞膜の成分として必要だが、余分に摂取するとLDLが増え、血管の内壁の下にもぐり込み血管を硬くする。

 

さらに過剰な状態が続けば血管壁にこぶ状の塊を作り、血流が滞る。

 

心筋梗塞など心疾患のほか、脳卒中に代表される脳血管疾患は、動脈硬化が進行して血管が詰まったり、破れたりすることが主な原因となる。亡くなる人も多い。

 

それだけでなく、慢性的な足のしびれや冷えのほか、痛みで長距離を歩けないといった症状があらわれることがある。

 

日常生活を送る上での支障になりかねない。

 

日本人間ドック学会の判別値によれば、LDLの数値が120㍉㌘/デシ㍑以上は要注意だ。

 

数値が特に高い人らには薬物治療も行われるが、まずは食事と運動で改善を目指しましょう。

 

肉の脂身や乳製品といった動物性脂肪を控え、運動を習慣化し、肥満なら解消するのが有効。

 

動脈硬化をさらに進行させる3大悪因子に「高血圧」「喫煙」と、食生活の乱れなどから起こる「食後高血糖」。

 

たばこが含む有害物質は血管壁を傷つけ、高い血圧と血糖も血管に負担をかけてLDLが沈着しやすい。

 

血管の硬さを調べられる検査の一つが「脈波伝播速度検査」。

 

両腕と足首に計器を着け、心臓から血液が送りだされる時に発生する波動「脈波」が動脈を伝わる速度を測定する。

 

速ければ老化した硬い血管ということになり、血管年齢も推定できる。

 

生活食事や生活習慣などが影響し、中には実年齢と血管の老化度を示す「血管年齢」に数十年の隔たりがある人もいる。

 

LDLや血糖、血圧が高い人は健康改善を意識してほしい。