改正育児・介護休業法が新年1月1日に施行された。

 

今回は特に、介護の面で大きな見直しがある。介護と仕事が両立できる環境を整え、政府が揚げる「介護離職ゼロ」を実現させる狙いだ。

 

介護休業の分割取得や、介護のための所定労働時間の短縮措置などが盛り込まれている。

 

「介護離職」とは介護を理由に仕事を辞めること。総務省の調査では、2011年10月~12年9月に県内では1900人が介護離職したと推計されている。

 

介護離職の増加が、経済的な困窮や虐待の原因となる恐れも指摘されている。

 

今回の改正では、これまで祖父母や兄弟姉妹、孫を介護するための介護休業や介護休暇の取得に必要だった「同居・扶養要件」が撤廃される。

 

独居高齢者や高齢者だけの世帯の増加など、変化する家族のあり方に対応する。

 

働いている親に代わり、親より所得の低い孫が祖父母の介護を引き受けたり、単身の兄弟の所へ通って介護したりするケースでは、同居・扶養要件が壁になっていた。

 

若い孫が制度のサポートを受けられず、離職しなければならなかった事例もあるという。

 

これまで介護の対象となる家族1人に対し、原則1回しか取得できなかった介護休業は、93日を3回まで分割して取得できるようになる。

 

また、介護休業と通算して93日の範囲で取得できるとされてきた労働時間の短縮措置なども、3年間で2回以上利用できるようになる。

 

休業して完全に職場から離れてしまうより、介護休暇や時短措置、介護サービスなどを組み合わせて働き続けた方が、職場復帰が容易だったり介護中の孤立を避けられたりする場合がある。

 

制度の内容をよく理解し、自分に合った使い方を選択してもらいたい。

 

一方、育児休養については、養子縁組を希望している里親も取得できるようになる。

 

子の看護休暇は半日単位での取得が可能になる。

 

出産育児や介護などを理由とした、「マタハラ」「パワハラ」などと呼ばれる職場でのハラスメント(嫌がらせ)については事業主に対し、上司・同僚からの嫌がらせを防止する措置を講じることも義務付ける。