毎日よく眠れて寝不足の自覚がない人でも、本当に必要な睡眠時間には足りていないかも。
国立精神・神経医療研究センターの三島和夫部長らのチームが、20代男性への睡眠試験を基に、こんな警告を発している。
本来必要な睡眠時間は普段の睡眠時間より平均1時間ほど長いと考えられ、睡眠の充足でストレスに関わるホルモン分泌などが改善したという。
20~26歳の男性15人に明るさを調節できる実験室に入ってもらい、9日間にわたる試験の間、夜10時から朝10時までの12時間、室内を真っ暗にし、その環境でどれだけ睡眠が延長するか観察した。
15人の普段の睡眠時間は平均7時間22分で、全員が睡眠不足の自覚はなかった。
しかし睡眠延長試験に入ると、ほとんどの人に初日は10時間以上眠る「リバウンド」と呼ばれる現象が現れ、その後約1週間かけて睡眠時間が徐々に短縮し安定化する傾向が見られた。
睡眠時間の変動カーブを基に安定化する時間を計算すると、平均8時間25分となり、これを必要睡眠時間と名付けた。
試験の前後で血液検査をしたところ、試験後は空腹時の血糖値やストレス応答に関わるホルモンなど5種類の検査数値が、いずれも正常範囲内だが、望ましい方向へと変化していた。