口の中が渇きやすくなった、食事中にむせることがある。
こんな変化を感じたら、加齢に伴って、かむ力やのむ力が衰えている兆候かもしれない。
早めに気付いて対策を取るには、どんなことを心掛けたらいいのか。
口の働きの衰えは口内トラブルを引き起こしますが、体の健康にも関わるので放置しないことが大切。
トラブルの原因は複合的ですが、気を付けてほしいには、唾液の分泌量や歯や下の清潔度、のみ込んだりかんだりする力です。
口が渇いてのみ込みづらく、むせやすいと感じたら、唾液の分泌量の減少が考えられる。
唾液には口内の細菌の繁殖を抑え、食べ物を溶かして味覚を感じさせ、口を滑らかに動かし発音しやすくする働きなどがある。
そのため、口臭が気になる、食事がおいしくなくなった、話にくいという場合、唾液の減少が影響している可能性がある。
固いものが食べづらくなったら、かむ力が衰えたサイン。
かむと唾液が出やすくなるため、かむ回数が減ると唾液の減少につながってしまう。
口臭や口の渇きは歯や入れ歯、歯間の手入れ不足によることも。
入れ歯や加齢によって衰えた歯肉には汚れがたまりやすく、口内が乾燥していると汚れも付きやすく細菌が増える原因になる。
むせや、のみ込みづらさがある場合、のみ込む働きがうまくいっておらず、食べ物が食堂ではなく気管に入ってしまう誤嚥につながる。
高齢者は、知らない間に細菌が唾液とともに気管から肺へ入る「誤嚥性肺炎」への注意が必要だ。
肺炎は高齢者の死亡原因の上位を占める。
日本呼吸器学会のホームページによると、高齢者の肺炎の7割以上に誤嚥が関係するといわれている。
のみ込む力の維持だけでなく、清潔に保つことが予防につながる。
食前に口の準備運動を習慣化し、食べ方に気を配るのも効果的。
食べこぼしには、口の筋力維持のために口をとがらせたり、両端に広げるように伸ばしたりすると良い。
誤嚥予防には唾液や舌の働きも肝心。舌を突き出して唇をなめるように動かしたり、のどの準備体操におなかから大声を出したりするのもいい。
背筋を伸ばすと食べ物はのみ込みやすい。
口は栄養を摂取するだけでなく、会話や食事を楽しむ生活意欲に関わります。
噛むと脳が刺激されて認知症予防になるとされ、介護予防の第一歩です。
定期的に歯科検診も受け、口の健康の維持や改善をしてほしい。